第42話 夏祭り
「楽しいですね! お父様!」
ちょうど良い人の混み具合のお祭りの中、アリシアはそんな感想を述べた。
目新しい文化を楽しんでいるようでこちらも思わず笑みが溢れる。
「はしゃぎすぎですよ」
そういっているセレスもまた笑顔だ。
屋台の都合どうしても立ち食いになることに抵抗があるかと思ったが、そこはそうでもない様子。そんなことよりもみたことのない様々な食べ物に興味が止まらないようだ。
「お父様! あれは何ですか?」
「あれはかき氷だな。氷を細かく削ってシロップを掛けて食べるんだ。食べてみるか?」
「はい!」
「おじさん、かき氷一つ」
「あいよ、シロップは何にする?」
「どれがいい?」
シロップ一覧表をアリシアに見せて尋ねる。
「いちごがいいです」
「いちごね」
グオングオンと機械を唸らせかき氷が作られる。その様子もアリシアは注意深く伺っていた。
「はいよ、落とさないようにね」
「ありがとうございます」
かき氷を受け取ったアリシアは早速一口頬張る。
「冷たいです、美味しいです」
「そうかそうか、ゆっくり食べないと頭がキーンってなるぞ」
「キーンですか?」
「確か急に冷たいのが喉を通ると頭が痛くなるんだ」
「き、気を付けます」
人があまりいない木陰でかき氷を堪能していると、セレスがこんなことを聞いていきた。
「あれはなんていう装いなのですか?」
セレスの視線を辿ると、浴衣姿の一団が目に入った。
「あれは浴衣って言うんだ。俺もあまり詳しくはないけど、着物とかと同じ和服で、夏祭りとかによく着ていく服かな」
「何だか涼しげで可愛らしいです」
「そうだな。次夏祭りに行く時は着てみようか」
「はい!」
食べるのがひと段落して、まつりの中心部に向かうと聞こえてた通り、盆踊りをやっていた。
「あれは一体なんですか?」
「盆踊りだよ。夏祭りの定番で、意味としては先祖の霊を供養するために踊るんだ」
「なるほど」
「といっても今はもうそういった意味で踊っている人は少ないだろうし、気軽に参加していいものなんだよ」
そうこうしていると会場アナウンスが流れる。どうやらこれから盆踊りが始まるようだ。
「せっかくだから参加してみないか?」
「でも、踊り方がわかりませんよ?」
「櫓の上で踊っている人を参考にして踊ればいいよ。そんな堅く考えずに踊ってみるといいよ」
そうして会場に音楽が流れる。櫓を中心に円を書くように参加者は並び、それぞれが踊り始める。
「こ、こうですか?」
「そうそう、さすがセレスだね」
「面白い踊りですね」
「おお。様になってるぞアリシア」
こうして夜が更けていく。町内会のお祭りなので終了時刻も早い。なんだかんだ終了時刻まで祭りを楽しんだ俺たちは、少しの名残惜しさと屋台で買ったものを手土産に家に帰る。今日もまた平和だ。
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