第40話 夏の計画
夏季休業初日。俺たちは家のリビングでパソコンと向き合っていた。
「ここはどうだ?」
「こっちなんかもどうでしょう?」
と言うのも、この休み期間にどこか旅行でも行こうと計画を立てていたのだ。
セレスたちもこの世界に慣れてきた。金の心配もない。であれば遠出してみようと思い立った次第だ。
「お父様! ここなんていかがでしょう?」
アリシアが選んだ場所は京都。時期的に人はたくさんいるだろうが、日本らしい観光地としてはそこが一番イメージしやすいだろう。
「こちらなんてどうでしょう?」
セレスが選んだのは江ノ島。水族館が有名であり、海辺でもあることから夏の旅行地の常連だ。
距離的には江ノ島の方が近く、交通の便では京都だろう。
どちらもまた捨てがたい。
「「カズヤさん(お父様)はどちらに行きたいですか?」」
◇
「それで私に助言を求めに来た、と」
久しぶりに入った唯の部屋。その理由がこんなことになるとは誰が予想できたのだろうか。
「お兄は何で迷っているわけ?」
「……どっちの意見も聞いてあげたい」
噂に聞く水族館がある江ノ島、いったことがないので詳しくは分からないが、海も近いと聞く。夏のレジャーにはピッタリだろう。
かたや京都は、中学の修学旅行以来行ったことがない。記憶もあやふやなのでほぼ初見の楽しみ方ができるだろう。古の都に想いを馳せ、神社仏閣を回る旅行。これもまたいいものだろう。
「だったらどっちの意見も聞いてあげればいいじゃん」
「え?」
まさに青天の霹靂といった衝撃が俺の中で走った。
「だって旅行が一回だけって決まってるわけじゃないでしょ?」
「まあそりゃあ」
「だったら、とりあえず一回行って、また次の旅行で行けばいいじゃん」
「そっか、それもそうだな!」
唯の部屋を出てリビングに戻るとさっきとは似て違う光景が広がっていた。
「お母様、こういったのも良いかもしれません!」
「まあ、それも良いですね」
二人が眺めていたのは旅行サイトではなく、グランピング場のサイトだった。
「どうしたんだい?」
「お父様! 実は、この時期に観光地に行くのは人混みで大変かと思いまして」
「以前葛西さんからグランピングと言うのを教えていただいたのを思い出しまして、色々調べていたところです」
「どこか観光しなくて良いの?」
「私はカズヤさんとアリシアの三人で行ければそれで良いのです」
「はい! お母様」
そう言う二人を思わず抱きしめる。
「ちょっと苦しいです。お父様」
「ふふっ、ありがとうございます」
「お礼を言うのはこっちの方だよ。良い夏休みを過ごせるようにしような」
こうしてまたパソコンで色々な場所を探してみる。
どんな夏にしよう。そんなことを考える俺たちだった。
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