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勇者として召喚された俺(17)嫁と娘を連れて帰宅します!  作者: 雪代ゆき


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第29話 勇者の果て

何ともいえぬ空気の中、去っていった二人を見送った後、残った三人は庭から戻り、家のリビングへ。

言わずと各々が座り、アリシアとケインの話を待っていた。


「まずは隊長――カズヤが召喚された国、アルバシア帝国について話すべきですね」


アルバシア帝国は、大陸の中央に位置し、比較的温暖な地域だ。

軍事力、国力共に優れており、人類国家最大の国ともいえよう。

そんなアルバシア帝国は魔王大戦時、場所も相待って人類連合の中心的存在に成り上がっていた。


「天下統一を野心とする国家ではありましたが、バカではありません。魔王を倒さねば自国が危ぶまられるますから」

「そんな時、アルバシア帝国はどこからか勇者召喚の魔術式を持ち出してきたのです」

「戦ごとに絶対などありません。けれど、皇帝たちは勇者を召喚すれば絶対に勝利できると確証もなしに宣言しました」


これは神から授かった魔術式だと


「今思えばこれもおかしな話ですが、他国もそれに賛成し、勇者召喚が執り行われました」

「幾十人の魔術師の魔力を注ぎ込みやっとのことで起動した魔術式、それで呼び出されたのが――」

「和也だったのね」


千尋がそう呟くと二人は頷いた。


「勇者召喚は伝承では存在するのですが、実在はしないものでした。けれど、いきなり帝国はそれを引っ張りだし、勇者召喚を取り行った」

「しかも、術式が魔術式であったことに誰も違和感を覚えなかったのです」


魔法とは精霊を介さないで行使される魔術。一種の自然であったり神の奇跡に等しい技。

()()()()行使される魔術が神の奇跡というのは些か変な話だ。


「魔王を倒したのちに分かったことだったのですが、それも()()の仕業だったそうです」

「その旧神というのは?」

「私たちがいたイースガルドという世界には神がいました。世界に異物的な災害や現象が起きないように見守る神が。けれど、その神は悪戯を世界に施しました」

「それが魔王というわけです」


旧神が直接手を入れ、魔王を作り出し、それを自然のことだと全ての生命に認識させる。そして人類には勇者召喚という魔術を渡す。生きるチェスと言ったところか。全くいい趣味をしているといえよう。



「この件が神の世界で問題になり、旧神は神としての権能が剥奪され、今の神、イーディス様に変わったそうです」

「神の世界にも色々あるのでしょうね」


つい先日まで魔術や異世界なんて夢物語の世界だった三人だ、あまりの情報にちょっと放心しているようにも思える。


そんな時、階段を下る足音が聞こえた。


「お父様……」

「ここから先は俺も話すよ」

「隊長、お手伝いいたします」


「魔王を討伐した後、アルバシア帝国を始めとした国々は疲弊していた。多くの人が死んだんだ、当たり前だろう」

「多くの国が復興の為、手を取り合いながら立ち上がろうと奮起していました」


そこで場の空気が変わったのを三人は感じた。

小さな吐息を残し和也は重い腰を上げた。


「復興がひと段落したころ、戦争が始まった」

「隣の芝は青いということでしょう。復興して建て直す、そんな事よりも奪えばいい。至極簡単な話です」


「お兄は……どうしたの?」


慄きつつ問いを投げる。


「俺は、平和のために戦った」

「お父様たち特務親衛隊に課せられた任務は世界平定。対立している戦場に武力介入して会談までの道筋を作る。そんなことを行っていました」


苦虫を噛み潰したような表情でケインは続けた。


「それもひと段落した頃、各国は勇者という戦力が過剰戦力ではないかと言い始めました」


戦争をしようにも勇者という人類最強が相手では武が悪い。

なら異世界人だし、排除して仕舞えばいいではないか。


「片道切符だと分かりながらお父様を呼び出しておいて、全く虫のいい話です」


絶対零度の眼差しで吐き捨てるアリシア。


「そんな時に世界にイーディス様から神託が降りたのです。勇者とその家族を女神に返還せよ、と」

「お母様の国だけが惜しんでくれましたが、他の国はどうぞどうぞと言わんばかりの態度だったのにもイラッときます」



彼らには本当にすまないと思っている。

世界を滅ぼす遊びをし始める神がいるだなんて誰も思っていなかったのじゃ。


それが分かったのは勇者召喚が執り行われた時だった。

和也が召喚された時、世界に干渉が起こり、調べた結果、旧神が遊んでおったという状況じゃった。


とりあえず向こうで()()()()()()よう、相応の加護を和也に施した。

けれど、それも裏目に出てしまった。

和也はいくら血を流しても倒れないようになってしまった。

和也の卓越した英雄たる力はスキルだけではなく文字通り血が滲むような努力の上に成り立っておる。


彼が魔王を倒したのはイースガルドにきて数年経った頃だったか、その頃には何度死んでもおかしくはないほどの傷を負っていた。


けれど、倒れることは許されない。我の加護がそうさせてしまっている。


せめて、魔王討伐後は平和に過ごせるようになればいいが。

我々神は決して過干渉をしてはならない。旧神のバカがやってしまっているが、取り繕ってでもその体裁を整えねば……


人類は愚かだ。間違いもする。神だってそうなのだから。

しかし、此度の過ちは些か度が過ぎている。片道だと分かっていて呼び出した勇者を戦争の道具にした挙句、使い勝手が悪いから神に返す!?


どうやって返すのじゃ?術はないじゃろうて。まさか殺して魂を返すだなんて言わんよな??


この世界の人類の愚かさには呆れるわい。本当に殺して返そうだなんて……


ちゃんと我が元の世界に返しておくからはよう渡せ!なんだったら家族も一緒にじゃ!!


……全く和也にはなんと言って謝れば良いのだ…………

読んでいただきありがとうございます!



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