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勇者として召喚された俺(17)嫁と娘を連れて帰宅します!  作者: 雪代ゆき


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第16話 スマホとクレープ

セレスとアリシアにスマホを買う話。

「スマホ……ですか?」


こちらの世界に帰ってきて一ヶ月。俺はセレスにスマホを買ってみないかと提案した。

現代学生にとってはなくてはならない存在。それがスマートフォンだ。


「神様から聞いただろ?そういえば用意してなかったなと思ってさ」

「確か、どれだけ遠く離れていても会話をしたり手紙を送ることができる機械製品……でしたよね?」

「そうそう、この間の女子会然り、活動範囲が広くなるだろ?あって損ないから買っておかないか?」


少し思案顔を見せるが彼女は首を縦に振る。


「使い方、説明してくださるんですよね?」

「俺も基本的なところしかわからないぞ?」

「それで十分ですから」

「引き受けた」


そうしてまた俺たちはこの間行ったショッピングモールに向かう。

未成年者は契約できないが、そこは神様が親権者の代わりをしてくれる。どうやっているかは皆目健闘がつかない。


「いろんな形があるのですね。何が違うんですか?」

「基本的には性能が違うらしいけど、俺も詳しくないから分からないかな」


並べられているスマホを眺めつつ俺は以前使っていたシリーズを探す。

というのも、異世界で戦っているうちに矢弾を受けて損傷してしまったのだ。それに10年放置していたので内部もそれなりに損傷しているはず。正直また電源がついたことのほうに驚いている。


普段ですら一日程度しか持たない充電が10年持つはずもなく。すぐにただの板になってしまった。


それから訳10年もの間スマホなしでの生活を送っていたので、あまり頓着がない。

最低限の機能が使えればいいし、以前と同じシリーズなら操作系が似ているだろうという理由だ。


目的の機種を見つけて契約。俺が黒でセレスが白、アリシアがパステルブルーだ。


「それでお父様、これはどのように使うのですか?」

「電話って書いてあるマークがあるだろ?それを押して俺の名前を押せば、俺に電話が掛けられるぞ。電話をかける時は名前を押して、こうやって耳に当てるんだ」


俺はスマホを耳に当てて手本を見せる。それにアリシアは習って耳にスマホを当てる。


「わかりました!」


早速実践してみるとのことなので俺は少し離れた場所に移動する。


少し待つと呼び鈴が鳴る。もちろん相手はアリシアだ。


「もしもし?」

『お父様、なんですか?それ』

「電話の時専用に挨拶みたなものだよ」


確か、昔の”申す申す”が訛ってこうなったのだとか。まあ今はそんなことはどうでもいい。


『えっと、もしもし?』

「ああ、ちゃんと聞こえているよ」

『すごいです!遠距離でお話しできるだなんて!まるでお父様の魔法みたいです!革命です!』

「ああ、そうだな」


現代を生きていればまず聞かないような新鮮な反応に思わず笑ってしまう。

向こうの世界で俺が多用していた通信魔法はもちろんこれがモデルだ。


「家でまたじっくり操作方法は教えるよ」

『ありがとうございます!お父様!』


電話を切って戻ると、何やら人影が多い。


「なあ姉ちゃん、一緒にどうだい?」

「人を待っているので結構です」

「待たせているやつなんかよりもよっぽどいい目に合わせてやるぜ?」

「だから結構ですと申しています」

「後ろの妹ちゃんも一緒にさぁ」

「だからお断りします」


金髪にチャラチャラとした服装。ここまで絵に描いたようなナンパが存在するのかというほど男がセレスたちを囲んでいる。


「すみません、俺の妻と娘に何か御用ですか?」

「あ?娘?冗談も大概にしろや」

「お父様!」

「カズヤさん!」


すぐに駆け寄ると二人は俺の両サイドに。その様子を見て本当だと気がついたのか後ずさるナンパ男。


「子持ちかよ、若作りしやがって」

「あ゛?」

「カズヤさん」

「ひっ」


聞きづてならない言葉が聞こえたので反射的に凄む。しかしセレスに制されてそれを止める。


「あなたの威圧は強すぎます。どうか抑えてくださいな」

「けど」

「わかっています。私たちのためにありがとうございます」


気がつけばさっきのナンパ男はもういない。

一言ぐらい言いたいところだったが、セレスの手前そうすることもできない。


「気分転換にスイーツ食べに行こうか」


そう提案するとアリシアの目が輝く。この子は甘いものが大好きなのだ。


「クレープなんてどうだ?」

「それはどのようなスイーツなのでしょう?」

「薄く焼いた生地に生クリームやフルーツ、アイスなんかを巻いて食べるスイーツだよ」

「なんと!すごく美味しそうです!」


わかりやすくテンションを上げるアリシアと、平静を装いつつも期待感あふれる目をしているセレス。

二人を伴い、モール内にあるクレープ屋に向かう。


「そいえば、スマホにはカメラ機能なんてあるぞ」

「それはどう言った機能なんですか?」

「その場面を切り取ったように絵にすることができるって感じかな?」


試しに一枚風景を撮って見せる。


「すごい技術です……!スマホがあれば戦争が変わりますね」

「まあな。でも物は使いようだろ?」

「……そうですね」

「こうやってインカメにして写真を撮ればっと」


インカメにして俺たち三人を撮ってみる。


「……!私がいます」

「こうして家族の思い出を絵として残せるんだ」

「……これは素晴らしいですね」


せっかくなので注文したクレープを手に写真をパシャリ。

セレスはこの機能を気に入ったらしく、クレープに夢中になっているアリシアを被写体に自分のスマホで写真を撮っている。

これは後でアルバムについても教えてあげないと。

そう思った一日だった。今日もまた平和である。

読んでいただきありがとうございます!



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