第120話 クリスマスの足音
夕方、夕食の買い出しにやって来た俺たち。
寒かった外から暖房の効いた店内へと足を踏み入れると、明言しがたい快適さを感じる。
店内はどこを見ても赤、緑、金色と電飾が彩られている。店内BGMに耳を澄ませると、どこかで聞いたことのあるサウンドが鼓膜を震わせる。
「クリスマス……もうそんな季節なのですね」
「そうだなぁ。アリシアの欲しいものを聞いておかないとだな」
時期的にまだ気が早い様に感じなくもないが、もう12月であることを考えると何らおかしくはない。
長いようで短かった今年に思いを馳せながら、必要なものをかごに入れてレジへ向かう。
家へと帰ると、珍しいことに唯が先に家へと帰っていた。
「珍しいな、今日は部活休みなのか?」
「顧問の先生がぎっくり腰になって今日はお休み」
「うわ、俺も気を付けよう」
「お兄、そんな年じゃないでしょ?」
「若くてもぎっくり腰になるんだよ」
そんなどうでもいいことを話していると、ふと唯がこんなことを言い出した。
「そう言えば、もうすぐクリスマスだよね」
「そうだな」
「異世界でもクリスマスってあったの?」
「そうですね、子供たちにお菓子を配るイベントはありましたけど、プレゼントを渡すようなものは無かったですね」
思い返してみてもそのようなイベントはなかった。まあ、元の起源を考えればなくて当然と言えば当然なのだが。
プレゼントを渡すイベントは誕生日だったし、それ以外でも普通に渡していた。
なので、特別プレゼントを渡すためのイベントというのは気にしていなかったというのが真相だ。
「せっかくこの世界に来たのですからこちらの文化を楽しむのも良いのかもしれませんね。唯さん、クリスマスに必要なものってなんですか?」
「そうだなぁ、クリスマスツリーでしょ?プレゼントでしょ?シャンメリーに七面鳥!」
「七面鳥まで用意するのか?フライドチキンで十分だろ?」
「でも6人だよ?一羽用意してもすぐ食べちゃうと思うな」
確かに家は大所帯になった。それを考えたら確かに七面鳥の一羽位食べてしまうような気がする。
「うちにツリーあったけ?」
「確かあったと思うよ?」
「ああ、あったあった。昔唯がサンタさんに会う!ってツリーから離れなかったけ」
「余計なことまで思い出さなくていいの!」
そうして我が家もクリスマスに向けて準備をし始めるのであった。
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