第119話 雪だるま
いつもより早く朝食を食べ終わった俺たちは家の庭に出てみる。
肌を刺す冷たい風はいつもより鋭く感じる。肺で温められた空気が外に出て白く煙る。
ギュッギュッと雪を踏みしめる感覚が何とも心地よい。
「凄い綺麗です!」
降ったばかりの新雪はまだ何にも汚されることなく、その純白さをいかんなく発揮していた。
「本当に冷たいのですね……感触もとても面白いです」
小さく手に雪を持った我が子を背後から見守る。
年相応の反応を見せるアリシアに俺たち二人は思わず口角が上がる。
「お父様、雪だるまってどうやって作るのですか?」
「まず、小さく雪の塊を作ってからコロコロ転がしてやると……」
「大きくなってきました!」
アリシアは夢中で雪玉を大きくしていく。
時折形を確かめながらコロコロと。
「胴体はそのくらいで良のではないですか?」
「そうですね、じゃあ次は頭を」
また先ほど同様雪の塊を作ってからコロコロ。
胴体部と比べて二回りほど小さな雪玉を作る。
「これを胴体の上に乗っけるのですよね?」
「ああそうだぞ」
アリシアは頭を抱えて胴体の上に乗せる。
「雪玉って重いんですね」
「言ってしまえば氷の塊だからな。それなりに重量はあるぞ」
「見事な雪だるまが出来ましたね」
セレスはそう言うが、どこかまだ完成したとは言えない様子を見せるアリシア。
「何か物足りないのか?」
「物語だと雪だるまにはお顔が付いているのですが、どうやっているのですか?」
「そうだな、石とか枝とかを顔のパーツに見立てて配置していくことが多いな」
そう教えると、アリシアはそこらから枝と石を見繕う。
雪だるまにそれらを配置して顔を整えていく。
「できました!」
「お~可愛くできたな」
「はい!」
達成感を感じさせる表情を浮かべるアリシア。
その傍ら、セレスも何かを作っているようだ。
「こちらもできました」
そちらを見てみると、手のひらサイズの雪うさぎが出来ていた。
「可愛らしいです……!どうやって作るのですか?」
「雪を集めて、葉っぱと木の実で耳と目をつくるのですよ」
早速マネして雪うさぎを作るアリシア。
直ぐに可愛らしい雪うさぎが二つ出来上がった。
「さ、そろそろ学校に向かう時間だぞ」
「もうそんな時間ですか、早く準備をしなくては」
「その前に二人は手を温めないとな」
手袋なしに雪遊びをしてしまったので二人の手はほのかに赤みがかっている。
二人の手に俺の手を重ねるとやはり冷たい。
「お父様の手、暖かいです」
「アリシアの手は冷たいな」
俺たちは足早に家の中に戻る。
中にある暖房器具に身を寄せ合って暖を取る。
直ぐに学校に向かわないといけないが、もう少しだけ。
そうして三人で時間ギリギリまで温かさを共有したのだった。
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