第117話 紅葉狩りそのさん
料理や植物の解説など盛り上がりを見せる紅葉狩り、そんな様子を尻目に俺は熊手を手に落ち葉をかき集める。
「何をしているのですか?お父様」
「主役を調理するための準備さ」
「なになに?もしかして焼き芋やるの?」
「ああ、これだけ人が集まったんだ。やらないわけにはいかないだろ?」
山となった落ち葉にアルミホイルでくるんださつまいもを放り込む。
「――【ファイア】」
ボッと小さく燃え盛る炎は落ち葉に伝播し、次第に煙が立ち込める。
「懐かしいな、俺たちの小さい頃はこうして焼き芋をしたもんだ」
「今はもうされないのですか?」
「そうだなぁ、煙が出るからご近所さんに迷惑が掛かるし、何より火事に間違えられたりするからな。今じゃ点でやらないな」
「その点この屋敷は大丈夫だな。ご近所さんはいないし、火はしっかり俺たちが見ているからな」
パチパチと弾ける火の音に耳を澄ませながら、時折焼き芋を棒で突く。
「焚火の音ってなんだか癒されるよね~なんかこう、デトックスって感じ」
「そうだな。今の日本じゃ滅多に焚火なんてやらないもんな」
「今じゃガス以外にもIHがあるもんな」
「ねえセレスさん、異世界だとどうだったの?」
「そうですね、向こうでは普通に火を扱っていました。市井の民たちは竈で火をくべて調理を行っていました。貴族や商人になると、魔道具などを取り入れています。我が家にはそのどちらともがありますね」
「へぇ、竈かぁ俺たちの世代からすればもう博物館とかでしか見ないようなものだな」
「そうだね、使い方とかわからないや」
「そんなに難しい物じゃありませんよ?火を見て薪の位置を変えたり、空気を送り込んだりして調整するんです」
そんな話をしてながらふと懐中時計を見るとそろそろいい時間。芋たちを取り出してみる。
ぱっくり割ってみると見事に焼けている。
「いい感じだ。みんな芋が焼けたぞ」
「やった!」
「こちらの世界の芋は甘いと聞きます。楽しみです」
ほくほくとした身は黄金色に輝き、齧り付くと無添加の芋の甘みが染み渡る。
「凄いです!甘いです!お砂糖を振っているわけではないのですよね?」
「ああ、正真正銘の芋の甘みだ」
「これは食べ過ぎるのも頷けます!」
花より団子が春の言葉だとするのであれば、紅葉と焼き芋は秋のことわざにしても良いかも知れない。
皆で秋を楽しみながら時間は過ぎてゆく。
ああ、今日も平和だ。
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