第113話 秋の楽しみ
肌を撫でる風がひんやりとしてきた今日この頃、外に目を向ければ木枯らしが見受けられる。
そんな様子を窓越しに眺めていると、セレスが声を掛けてくれる。
「カズヤさん、紅茶が入りましたよ」
「ありがとうセレス」
セレスが淹れてくれた紅茶を一口。
紅茶のことには恥ずかしながら詳しくはない。勇者で貴族だったのにな。
でもセレスが淹れてくれる紅茶は美味しい。
紅茶の良さがよく引き出されているというかなんというか、陳腐な言葉ばかりが出てくる。まあ、美味しいのだ。
「相変わらず美味しいよ」
「ありがとうございます」
セレスもまた一口紅茶を口に運ぶ。
「温かいお茶が美味しい季節になりましたね」
「そうだな、冬とまではいかないが若干寒い。風邪を引かないようにしないと」
風が窓を揺らす音がこだまする。
俺たちのお茶会というのはあまり言葉は交わされない。普段から喋っているから特別何かを話すというわけではない。もちろん話題があれば話す。ただ、その場の空気感を楽しむことがどちらかといえば多いということだ。
「そういえばようやく最近になって紅葉し始めたな」
「そうですね、書物などでみる紅葉の季節とはまた違ってきている気がします」
「日本は二季化しているなんてニュースもあるくらいだしな。天候も時代と共に変化しているってことだ」
「ニュースによると紅葉の見頃は今週末らしいですよ?」
「そうか……それじゃあ今週末ぐらいにやらないか?紅葉狩り」
「いいですね。お義母様たちを呼んでみんなで紅葉狩り。場所はどうしますか?」
「そうだな、近隣の紅葉スポットは軒並み人でごった返していそうだし……屋敷の庭なんてどうだ?なんだかんだしっかりと見せたことなかっただろうし」
「それはいいですね。でしたら念入りにお手入れしなければ」
紅茶を飲み干し席を立つセレス。
「東屋の方全然使ってないもんな。よし、俺も手伝うよ」
「ありがとうございます、カズヤさん」
「俺の家でもあるからな、当然だとも」
そうして二人で紅葉狩りの準備を整え始めるのであった。
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