第109話 幻惑魔法
魔法、それはこの世の理から外れた現象を引き起こす奇跡の事。
和也の持つスキル、大魔導はそれすらも可能にしたのだ。
戦場で活躍した魔法は幾つかあるが、通信魔法と幻惑魔法はそのトップに挙げられるだろう。
「今日だったよな?アリシアの三者面談」
「そうですよ」
「だったら先に幻惑魔法を試しておくか」
「それがいいですね。兜や大人数のところに紛れるわけではないのですから、厳密に再現しないとですから」
早速幻惑魔法を試す。
幾つかの呪文を唱えると、俺は光に包まれる。
光が晴れると俺は視線が高くなるのを感じた。
「どうだ?結構うまくいったんじゃないか?」
俺は鏡で自分の姿を確認する。
高校生の俺からすれば多少背丈が大きくなり、彫りの深い顔に少し長い髪。かつて見た俺の顔がそこにはあった。
「そうですね、概ね問題ないかと思います。しかし……」
「しかし?」
「あの時のカズヤさんに比べると気持ちふっくらして見えます」
「そうか?じゃあ……」
そうして俺はもう一度魔法を行使する。
「これでどうだ?」
「そうですね……」
セレスは俺の身体を360°じっくり見ると言った。
「あの時の和也さんはもう少し筋肉質でした」
「そ、そうか、じゃあ……」
もう一度魔法を行使して姿を確認してみる。
「今度こそどうだ?」
「そうですね……」
俺の身体をペタペタと触りながら確かめるセレス。
「良いと思います。これならバレる心配もありません」
「そうか、それはよかった」
連続しての魔法の行使に若干疲れたが、セレスが満足そうにしているので良しとする。
「そろそろ時間ですね、向かいましょうか」
「そうだな」
スーツを着た俺はセレスと共に慣れた通学路を歩く。
学校にたどり着き、いつもと違う中等部の玄関口に向かう。
「あ!お父様、お母様!」
「アリシア、待っていてくれたのか?ありがとう」
「はい、せっかくお父様とお母様がいらしてくださるのですから当然です。それよりお父様、そのお姿、なんだか懐かしいです」
「アリシアからしたらこっちの姿の方が馴染みあるよな。ごめん」
「そんなことはありませんよ?せっかくですから楽しませてください!」
そう言ってアリシアは俺に抱きつく。
久しぶりのハグにちょっと驚きつつも、俺はアリシアを撫でながら抱き返す。
「先生が待っているんじゃないか?」
「そうでした!こちらです!」
アリシアは飛び退き俺たちを先導する。
可愛い娘の姿に俺たちは微笑みながら後に続くのだった。
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