閑話 冬服
夏が終わったと思えばもう冬の足音が聞こえ始めた今日この頃、俺たちは冬服を手に入れるためにショッピングモールを訪れていた。
「外はとても寒いですけど、店内は適温ですね」
「空調が効いているからな」
「夏の時も思いましたが、とても便利ですよね。王宮なども似たような魔術がありましたが、それを市井の民が使えるのはとても素晴らしいです」
「科学技術に感謝だな」
俺たちは洋服屋に足を向ける。
洋服屋もこの寒さのせいか、ダウンやニットなどの冬服を全面に推した品出しになっている。
「今日はカズヤさんの服は見ないのですか?」
「俺の冬服はあるしな、今日はセレスの服を見るつもりだよ」
「そうですか……」
そう答えるとセレスはどこか残念そうな表情を浮かべる。
「俺の服も後で見るから付き合ってくれるか?」
「もちろんです!」
とりあえずはここにきた目的のセレスの服を見にいく。
「そうか、ジーンズにも夏用と冬用があるんだよな」
「そうですね、なので、トップスとボトムスも買うことになりますね」
見た目はあまり変わらなくとも、中の素材が違うらしく、断熱効果があるのだとか。
めぼしい服を幾つか見繕い、試着室へ。
「どう、ですか?」
服を着ては俺に見せてくれるセレス。
セーター、ニット、カーディガン。セレスはやはり何を着ても似合う。
「うん、どれもとても似合っているよ。全部買ってしまいたくなるぐらいだ」
「新しく冬服を用意するので、多少は多く買ってもいいですけど、流石に全部は難しいですよ?」
「そうだよなぁ……」
たとえドレスでなくとも着こなしてしまうセレス。なので選ぶのはとても難しい。
「普段着だから着ていて楽な服にしたらどうだ?」
「そうですね、着心地が良いものを選ぼうと思います」
そうしてセレスは時たま俺の意見を取り入れつつ服を選定していく。
「カズヤさん」
「どうした?」
「楽しいですね!」
「そうだな」
イースガルドでは服は品位のために皆オーダーメイドだったものだから、一緒に宝飾品を見にいくことはあっても、服を買いに出かけることはなかった。
なのでこうして出かけるのが新鮮で楽しいのだろう。
「次はカズヤさんの服を見に行きましょう!」
「もういいのか?」
「はい、十分買えましたので!」
この世界でこんな普通の生活が送れるなんて、あの時の俺は考えもよらなかったんだろうな。
そんなことを考えながら俺たちは次の店へと足を向けるのだった。
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