第103話 カズヤさんのいない日
翌日、私は一人で学校に行った。
カズヤさんは当たり前だが、家で養生に努めてもらう。
アリシアと二人で歩く通学路は何だか少し寂しい。
「セレスティーナさんおはよう!」
教室に入るといつものように二子山さんが声をかけてくれる。
「あれ?和也くんは?」
「インフルエンザに罹ってしまったのでお休みです」
「あちゃあ、季節の変わり目だもんね」
「え、和也今日休みなのか、テストどうするんだ?別日とかに受けれるのか?」
「先生のお話だと、見込み点というものになるようです」
「なんだそれ」
「去年の成績を元に算出されるものらしいです。詳しくはわかりませんが……」
「そっか、とりあえずお見舞いの連絡しとくか」
カズヤさんのお友達が次々と私のところに来ては容体を聞いてくる。
こういう時にカズヤさんの人望が図れるというものだ。
「セレスティーナさん気をつけなね?」
「何がです?」
「和也くんいないからここぞとばかりに告白してくる奴がいるかもだし」
「流石にそんなことはないと思いますよ?結婚していることは公言していますし」
「いや、恋人に飢えた高校生を舐めちゃいけないよ?俺の方が優れてるって思う人が言いにくるんだよ」
「そ、そういうものなのですか」
食い気味に行ってくる葛西さんに少し慄きつつ、私たちはせきについてテスト前最後の追い込みを掛ける。
家に置いてきたカズヤさんのことが心配ではあるものの、まずは目の前のやるべきことを片付けなければ。
そうして私はテストに臨むのだった。
◇
太陽が頂点に差し掛かった頃、無事にテストが終了した。というのも、今日の日程は午前中にテストがあり、午後の課業は行わず下校となっている。
「いやあ、やっと終わったぁ」
「ふふ、お疲れ様です。葛西さん」
「セレスティーナさんは余裕そうだね。流石、前回総合一位」
「そんなことはないですよ?私もそれなりに疲れています」
「そうは見えないんだよなぁ」
そんな雑談をしていると一人、他クラスの生徒が教室に入ってきた。
「セレスティーナさんはいるか?」
「はい?セレスティーナは私ですが……」
「ついにあの男と別れたと聞いたので、あなたに告白をしにきた!」
堂々たる発言にクラスがざわめく。
「どこからお話しを聞いたかはわかりませんが、カズヤさんとは別れていませんよ?今日は体調が芳しくないのでお休みをいただいているだけです。思いを寄せていただいたことは光栄に思いますが、私にはもう夫がいますので……」
「そ、そうか……」
そう言って彼は下がっていった。
クラスの皆さんに騒ぎ立ててすみませんと謝ると、皆、気にしないでと言ってくれた。
「夫がいるって学生なのに最強のことわり文句だよね」
「事実ですから」
「そろそろ帰ってあげたら?和也くん、待ってるんじゃない?」
「葛西さん……そうですね、今日は先に帰らせてもらいますね」
荷物を持って私は足早に家路を辿る。
「カズヤさん?起きていますか?」
家に着いて、しっかり手洗いうがい、マスクをした後、屋敷のカズヤさんの部屋にやってくる。
病気の時のためにとつくられた部屋が10年越しにやっと使われたのだ。
当の本人はスヤスヤと寝息を立てている。
額に手をやるとまだ熱い。
お医者様曰く、薬を飲んでから一週間で治る病なのだとか。この世界の医学の進歩は凄まじい。
だとしても、病にかかると辛いことは確かで、今、カズヤさんは病魔と戦っている。
「早く良くなってくださいね」
そう言って私はカズヤさんの頭を優しく撫でる。
私にできることは少ないけれど、やれることをやろう。
そう思い立ち、私は昼食の準備をするのだった。
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