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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

分身スキルで四股男

作者: 柿名栗

 兎羽岸益男(うわきしますお)は三十二歳のしがないサラリーマンであった。


 彼は顔が良く、妻帯者でありながら来るもの拒まずの姿勢でしょっちゅう浮気をしていた。

 そして何度目かの浮気もすぐにバレ、堪忍袋の緒が切れた妻に包丁で刺殺され謎の異空間で目を覚ます。

 そこに突如として現れた謎の女神から、好みのタイプだから、という理由で再び命とスキルと呼ばれる能力を授かる。


 そのスキルの名前は【分身】。

 最大三体の分身を出すことができる能力である。

 分身は見た目も思考回路も全く一緒で、それぞれが独立して行動でき、時間制限などもなかった。


 益男は女神によって突然放り出された異世界に戸惑いながらも、持ち前の甘いマスクを生かし、中世ヨーロッパ風の街で知り合った女性のヒモとなりのうのうと日々を過ごしていた。


 そんなある日のこと、彼は同日に四人の女性とデートをすることとなった。

 そう、彼は懲りずに浮気を繰り返していたのである。しかも四股。


 本体と分身三人。合わせて四人の益男は円陣を組みひそひそと打ち合わせをする。

 とにかく絶対にデート場所をかぶせてはならないと。

 各々の行く先やルートを綿密にチェックした後、四人の益男はそれぞれ約束した女性の元へと散っていった。


 そして、なんとか無事にデートを終え、夜。

 薄暗い街角の宿屋の前で、四人の益男と連れの女性四人が鉢合わせした。


 不覚にも益男たちはお持ち帰り先の段取りまでは決めていなかったのである。


 四人の益男は女性たちに詰問される。

 四つ子でなんとか通そうとしたが、顔のホクロの位置まで全く同じだった為誤魔化せず、益男はとうとうその場で一人に戻り、分身スキルの事を白状した。


 怒った四人の女性たちに益男はボコボコにされ(特に女性Cはスゴ腕の冒険者だった為、多大なダメージを受けた)全治三か月の大けがを負った。

 この宿で永眠しとけ、などと捨てゼリフを吐きながら女性たちは去っていく。

 血反吐を吐きながらボロクズのように地面に横たわる益男は懲りることなく、今後はもっと気を付けねば、などと思うのであった。


 しかし、話はこれで終わりではなかった。


 女性Dは高貴な身分の人で、受けた恥を(そそ)ぐため暗殺者を雇い、益男を襲撃させたのである。

 哀れかな、益男は異世界においても女性に命を奪われる結果となってしまったのだ。


 ところが数か月後、別の街で益男を見たという噂がどこからともなく流れた。

 暗殺されたのは分身で、本人は無事であるらしい、と。

 しかし、どの噂も結局は噂でしかなく、真相は謎のままである――。


―おわり―

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