後編 復讐劇の幕開け
【ルリ・ルールネ、聖女の間(5時半頃)】
「おはようございます、ルリ様」
「ん、おはよう。リュカ」
「朝早くに申し訳ございません。お伝えしたい事が…。」
「面会?」
「ええ。キャンセルになった件で御座います」
「もしかして、もう予約が?」
「お察しの通り、ファルドルト公のご子息が。」
「分かったわ。」(シリル、どうしたのかしら?)
【シリルの寝室(同時刻)】
「おはよう御座ございます、シリル様」
「おはよう、ルカ」
「今日もお早いですね」
「そうかな?」
「はい、ルールネ様に合わせて起床きしょうしているのですから、早くて当然です。」
「そ、そんな事はナイヨ?」
「そうですかっ」
「『そうですか』って言いながら笑うな!」
「わ、笑ってませんよ?」
「もういい。食堂に行くぞ。」
「畏かしこまりました。」(拗すねてしまった。どう機嫌きげんを取ろうか)
【時頃】
「シリル様、そろそろ準備しますよ!」
「? 何の準備?」
「お忘れになられたのですか? ルールネ様に会う準備ですよ?」
「げっ、もうそんな時間? って、まだ時だよ?」
「3時間の準備は?」
「当然って事か…」
「はい! 楽しみですね♪」(シリル様を着飾るのは楽しみ♪)
「ああ、楽しみの為に頑張ろう。」(ルネに会うのは楽しみだからな。)
「あ、シリル様。」
「どうした?」
「今日はお昼抜きですね!」
「は?」
「え? 軽く食べます?」
「は?」
「え? 食べませんよね?」
「は? 食べるよ?」
「軽くですからね?」
「…分かった。」
【時頃】
「つっっっっっっかれたぁ!」
「お疲れの所ところ申し訳ありませんが、行きますよ?」ニコッ
「ウン。」(何だろうルカの微笑みほほえみが悪魔の微笑みほほえみにしか見えない)
【聖女の間】
「やあ、ルールネ」
「ルシー! いらっしゃい!」
「単刀直入たんとうちょくにゅうに言う。」
「もしかして…」
「あぁ材料の一つ、氷結草が手に入った。」
「…教えない」
「まだ何も言ってない。」
「まだって事は言う気だったでしょ。」
「無茶はしないから材料教えて。」
「一つ、条件がある」
「何なりと。」
「絶対に、死なないで。」
「分かっ
「ルシーは死なないで。」
「僕も、ルネも死なない。死なせない。」
「うん! 手紙に書いて届けるね!」
「じゃあ、僕はこれで。」
「待って。」
「久しぶりにゆっくり話そう?」
「あぁ勿論だ。」
その日の夜、ルールネは亡くなった
【夕飯時】
「シリル、知らせは聞いたか?」
「っ!…何の事でしょうか?」
「聖女殿がルリ殿が、亡くなったそうだ。眠る様に…葬式に行ってあげなさい。」
「…はい。」
「お休み、シリル」
「お休みなさい。父上。」
パタン
「シリル、すまない。すまないなぁ…」
【シリルの部屋】
僕はひたすら泣いた。
部屋まで我慢した僕は偉いと思う。
「るね…るーるね…」
さようならルールネ
ルールネ・リメントさま
ありがとう
さようなら。
【次の日】
いつの間にか寝ていたみたいだ。
起こしに来たルカに腫れた目を冷やされた。
今日は葬式がある。
葬式場に馬車で向かった。
明日には火葬する様だ。
今日来れてよかった。
父上に心配された。
継母ままははと異母姉いぼしに笑われた。
ルールネの死体を前にして僕は怒りが湧き出て来た。
王族、王族に乗り毒を盛った教祖、神父。コイツらが恨めしい。
ルリ様と言ったら起きてくれるだろうか?
ルールネが昼寝をしていた時はルリ様と呼んだ瞬間に飛び起きた。
王族に乗り毒を盛った教祖も神父も。
何より王族を
僕は絶対に許しはしない