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成功者

作者: 北里浩一郎

ある、うららかな春の日だった。一人の工員が、川辺で、タバコを吸っていた。春の日のことだから、近くには桜の木があって、陽光に桜の花が輝いていた。工員は、三流高校の卒業生で、高卒で、鉄工所の工員になって、毎日汗みどろになって働いていた。月給は、20万円。そこから、年金や、社会保険料をはらうと、手取りは15万円というところだった。実家にいるから、まだ助かるのだが、1人暮らしをするとなると、安アパートにでも住むしかなかった。


工員は、世の中の成功者を心の底から憎んていた。皆殺しにしたいぐらいだった。特に工員は、ザッカーバーグが嫌いだった。工員が、タバコをふかしながら、川を見つめていると、そこへ、結構いい服を着た、三十代ぐらいの男が現われた。男は、気軽に工員に話しかけてきた。

「桜がきれいですね」

「はあ、まあ」と工員は、おずおずと答えた。この男、もしかして成功者なのか?

「ところで、お仕事は?」

工員は、とっさに嘘をいった。

「投資会社を経営してます」

男は、目を丸くした。

「そうですか。わたしは、IT企業の経営をしてます。投資の経営は難しいでしょう」

「いえ、相場をはるだけですから。そうでもないです。」

嘘というものは、ついているうちに、どんどん膨らむものだ。工員は、嘘をどうとりつくろうかと、頭をめぐらせた。

「投資が専門なら、最近の為替相場をどう捉えてますか?」と男化を工員に尋ねた。工員は、困った。為替のことなんて、まったく知らない。正体を隠すために、工員は、適当なことをいった。

「まあまあじゃないですか?」すると男は、顔色を変えた。

「なにをとぼけたこというんですか? この間為替相場が没落したじゃないですか。あなた、嘘ついてますね。だいたい、その、みすぼらしい服はなんですか。あなた、本当は、高卒の工員かなにかじゃないてすか?」

工員は、男の言葉に激昂した。「うるせぇ、このクソ野郎が」工員は、男に近づいて、胸元を掴んて

3回穂と、顔を殴った。男は、スマホを取り出して、警察に通報した。すぐにパトカーがやってきて、工員は、連行されてしまった。人間、見栄をはるものではあいらしい。


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