四話
だいぶ空いてしまってすみません。
「乃雲! 起きなさい!」
「のわっ」
そんな声が天彦家に響き渡った。
その声に驚いて黒髪の少年。天彦乃雲はベッドから転げ落ちた。
ガタンと音が鳴るとともに乃雲は頭に激痛が走る。
「っ!? いっったー!」
そう苦悶の叫び声をあげながら頭を抱え込むようにうずくまっていると、どたどたと階段を駆け上がる音がする。
いやな予感がして扉から這うようにして離れるとどかっ! と蹴破るかのように扉があけられた。
「おはよう乃雲! 今日もいい水が落ちそうな日だね!」
そうしてずかずかと俺の部屋に入り込んできたのは、隣に住んでいる女の子、神酒之螺良だった。
彼女はトレードマークのアクアマリン色に白のメッシュが入った髪をサイドアップにしていた。
濁りのない白い眼は猫目で今日もらんらんと光っていた。
「お前のせいで体と扉がぶつかりそうになったがな!」
そう俺が荒々しく声を上げても螺良は何も気にした様子もなく部屋の中をガサゴソし始めた。
「って何やってんだよ!」
「物色」
悪びれた様子もなくきっぱりと螺良は言い切る。
「おいこら何に平然と物色再開してんだよ。大体高校3年の女子が同い年の男子の部屋をまさぐんのは
ダメだろ」
「あーん」
物色を続ける螺良の首をつかんで持ち上げると、残念そうな声を上げた。
「そういうってことは何か隠してるのかな?」
螺良ば顔をバットこちらに向けてじっと瞳を見つめてきた。
その目に俺は少し息が詰まり、少しだけ声が上ずってしまった。
「ンなわけあるか。客観的な視点で俺はだな……」
「ハイハイわかったから。一旦リビングに行っとくね」
俺が詳しく説明しようとすると、螺良はやれやれといったポーズをとって部屋から出て行った。
ガチャンという音が嫌に俺の部屋に響いた。
「……はぁ、行ったか」
重苦しい息を吐きながら俺は自分の机へと向き直り、近寄って行った。
机に近づいた俺は引き出しを引いて中からあるものを取り出した。
「これを見られたらあいつはどんな反応……って何だっけこれ?」
俺が取り出したのはクレオンがぐちゃぐちゃに落書きをしたかのような黒い物体だった。
それが何だったのか思い出せそうになる瞬間、頭痛が走る。
「ぐあっ……」
黒い物体を俺は取り落として、とにかく頭を抱える。
そのとき誰かの声が朧気で、でもはっきりと聞こえた。
「この世界を……元に戻して」
それは何度も聞いたことのある声だった。
「螺……良?」
そうつぶやいた瞬間。俺の意識はブラックアウトした。