一話
最初に言います。
不定期です。
冷たい。
最初に思ったのはそんな、なんてことない、ぼんやりとしたものだった。
冷たいと感じると、自分は無意識に左手のひらを握りしめたり開いたりして確認し、次に腕をのろのろと上げようとした。
しかし力の入ってない手は、上げようとしてる途中でだらんと垂れ下がる。
次に目を開けたとき、ぼろぼろに風化した灰色の天井が目に入った。
右手を床につけて体を持ち上げる。
やわらかい感触と沈み込む感覚で自分はベッドに寝ていたのかと理解し。
しばらくそのままの体勢でぼーっとしていると徐々に意識が覚醒してくる。
それでも晴れない眠気を振り払うように頭を振っていると、ふと二つの見たことがないものに目が留まった。
一つはカレンダーだ。
自分の記憶の中のカレンダーは黒と白のシンプルなものだったが、今では水で出来た塔が描かれたカレ
ンダーとなっていた。
だがそれよりも自分はもう一つのほうに目が吸い寄せられた。
それは……。
窓の外をじっと見つめているように座っている水で出来た猫だった。
その猫は水だけで作られてるはずなのに、何か特別なものが混じっているような気がした。
きっと光を受けているのが神秘的に見えているのだろう。
見入ったようにその猫を見つめていたが、いつの間にか猫はこちらに顔を向けていた。
水猫は顎と思われるところをくいっと動かし、窓の前に立つようにこちらに伝えてきた。
自分は恐る恐る、床に足をついて水猫の傍へと歩いていく。
窓辺に立つと猫は外をじっと見ていた。
それにつられて見てみると、外にはありえない光景が広がってた。
自分でもわかるくらい目が大きく開かれ、冷や汗が額からすっと流れた。
ふらふらとさらに窓へと近づいて手を付ける。
それでもまだ信じられなくてかすれた声でつぶやく。
「なんで……水の都が崩壊しているんだよ……」
自分の視界の先にはたくさん高層ビル風化し、緑が生えた崩壊した水の都だった。
元は世界で最も美しいと言われた町だった面影はどこにも残っていない。
水の音って…いいよね。
(誰目線だよ。)
大事だから二度言います。
不定期です。