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第四章 テントの中で
アイリーンはテントの中で、六人の子供たちが寝た後もなかなか眠れずにいた。一人で考え事をしていた。
なぜ世の中にはいい人と悪い人がいるのだろう?
アイリーンは人生を振り返ると、楽しいこともたくさんあったが、つらいことも同じぐらいたくさんあった。高校3年生の時、クラス旅行でいじめにあい、それからずっと体調が悪いまま過ごしてきた。
それなので、アイリーンはミシェルの気持ちが良く分かった。
もちろん、環境の問題や病気の問題も重要である。しかし、一番根底にあるのは、人間関係だと考えた。みんなが協力しないと、解決できるはずの問題も解決できないのである。一人で世界を良くすることは難しい。
アイリーンにできることといえば、こうして小説を書いて発信していくことぐらいである。きっと誰かの心に響くと信じて。