プロローグ
更新不定期。また恋愛もの初執筆です。
それは中学2年生になったばかりの春のことだった。
新一年生を迎える入学式が終わって、まだそわそわとした空気の抜けない四月。
隣のクラスの男子生徒に体育館裏に呼び出されて、私は生まれて初めて告白された。
ベタな、と言ってしまえばそうなのだが、呼び出された時点で薄々はこういうことになることはわかっていたし、もちろんそれは呼び出した本人もわかっていたのだろう、耳まで赤く染めてたどたどしく言葉を紡いだ。
桜の花びらが舞う季節。私に人生初の彼氏というものができた日であった。
彼氏ーたかしくん(仮名)はいい奴だった。
私の家庭の事情も酌んでくれていて遊びを断っても怒りはしなかったし、ぐいぐいと迫ってくることもなかった。
そうしてなんだかんだたかしくん(仮名)とは一年と半年ほど恋人という契約を続けて、そして別れた。
私が振ったわけではなくたかしくん(仮名)から振られたのだ。
正直。ほっとした。
周りが色恋に浮足立っていると少しばかりそれに感化されてしまうもので、私は特に考えもせず告白に応じた。
その結果はまあこの有様だ。
悲しくはなかったし、振られたことに対する怒りも当然ない。
ただあるのは彼に対してのわずかな罪悪感だけであった。