第9話 海と屋敷と無人島4
10日連続投稿達成!目標達成しました。一部訂正です。昨日出した8話のあとがきに書かれていたのは第9話に当てはまるものでした。申し訳ありません。
【玉藻と拓実】
「真白さんだっけ?」
「玉藻でよい。拓実。お主は壮真の親友じゃからの。」
「そうか、んで、玉藻さん。壮真とは何かあったのか?」
「ん?どういうことじゃ?」
「いや、キスしたとか。」
「き、ききキスじゃと!?」
玉藻は顔を真っ赤にして動揺している。
「あ、してないのか。」
「するわけないじゃろう!というより、壮真がしてくれるわけないのじゃ!」
半ばキレ気味に叫ぶ玉藻、暗に壮真が好きだというような言葉を叫んでいることに気づいてない。
「壮真が好きなんだな。あいつモテるなぁ。」
「モテるじゃと!?つまり、他の女子も壮真を狙っとるということかの!?」
玉藻は拓実に詰め寄る。拓実はじりじりと後ろに下がった。
「まぁまぁ、落ち着け。壮真のことを好きなのは楓だよ。」
「楓は分かりやすいから分かっておる!他にはおらんのか!?」
「お、俺はそれ以外知らねぇ。」
「…ふぅ、すまんの、頭に血が上っていたようじゃ。」
はぁとため息をつき、玉藻は一旦気持ちを落ち着けた。
「落ち着いたか?じゃあ、さっさと行くぞ。」
「そうじゃの。」
玉藻は既に通り過ぎたが山の中腹あたりに霊が1匹いることに気づき、霊気で威圧しておいたため、霊は出てこなかった。
「なんだ、結局出てこなかったな。」
「そうじゃのう。戻るとするかの。」
寺の写真を拓実が撮ると、さっさと玉藻と拓実は山道を下っていった。
【楓と啓介】
「帰ってきたわね。」
楓は玉藻と拓実が帰ってきたのを見つける。
「霊はいなかったよ!」
「結局、霊はおらんかったのじゃ。」
2人とも駆け足でこっちに戻ってきてそう言う。
「ぬぅ、唸れ、私の霊媒体質。行くよ、湯島君!」
「あぁ!待って。」
楓はペアを置いていってさっさと山に向かっていく。啓介は慌ててついていった。
「私的には入り口付近と寺付近には出ないと思うの。つまり山の中腹あたりが狙い目ね!何か目印があると思うの。お墓とか。」
「そ、そうかい。」
流石の啓介もオカルトマニアモードの楓には苦笑いだ。
「さっさと中腹付近に行きましょう!」
楓はスタスタと啓介を置いて行く勢いで山道を登って行く。啓介は慌ててそれについていった。そう高くないので、すぐに中腹につく。
「ここらね。何か目印がないかなー。」
「どうだろうね。」
啓介はお化けから逃げるのではなく、探し出す女の子はどうなんだろうと少し真剣に考えていた。結局、肝が座ってると言う結論に落ち着いた。
「あっ!」
「な、何か見つけたのかい?」
「これこれ、お墓か何かじゃない?」
楓が示した先を見ると、確かに石が積み立てられたものがあった。墓とも思えなくもない。
「やっぱりここらね。探すよー。」
「探してたら出てこないんじゃないかい?お化けっていうのは、怖がる人に見えるものじゃないかな?」
やっぱり探し出すのは自重してもらおうと啓介それっぽい正論で説得しようとする。
「…確かに!でも、それじゃあ、私一生会えない!」
楓は頭を抱えている。
「ま、まぁ、探すのは後でできるし、とりあえず寺の写真を撮ろう。」
「…そうだね。帰り道なら出るかもしれないし。」
楓は落とし所をつけたのか、山の頂上に登り始めた。啓介はふぅーとやり遂げた顔をして楓の方を見ると、木の陰からナニカがこちらを見ていることに気づいた。
「ひっ…」
啓介は叫んだら飛びかかってくるかもと思い、悲鳴を飲み込む。
「どうしたのー。早く来てー、帰り道に探す時間がなくなるー。」
楓が上の方でブンブンと手を振っている。楓の方に向かう途中に、こちらを見てくるナニカがいる。啓介はこれ以上ここにいたら、柊木さんに怪しまれると思い、意を決して山を登った。
「…っ!」
だんだんこちらを見てくるナニカが潜んでいる位置に近づく。啓介はそちらを見ないように歩く。ちょうどナニカの横を通った時、気になって横をチラッと見た。
「ひっ!」
小さいヒョロヒョロとした体に体と比べて不釣り合いな大きさの顔がくっついている異形が啓介のことをじーっと見ていた。
(こ、これは存在してはいけないモノだ!)
そんな風な考えにとらわれ、一瞬動きが止まる。
「おーい、湯島君!遅い!」
楓の声が耳に入り、バッとそっちに向かって駆け寄った。楓の隣についた後、後ろを振り替えるともう既に餓鬼の姿は消えていた。
「どうかしたの?」
楓は啓介の顔を覗き込む。啓介はニコッと楓に笑いかけた。
「大丈夫、さっ行こう!」
すぐに山頂に着き、写真を撮る。そして、山を降りた。啓介は山の中腹あたりでキョロキョロと餓鬼の姿を探したが見つからなかった。
「いなかったねー。」
「そうだね、噂は噂だったってことじゃないかな。」
啓介は麓にいる他の人達の姿を確認してホッと息をついた。
【壮真と沙耶】
「さぁ、沙耶ちゃん。いってらっしゃい!」
「い、嫌。やっぱり嫌!」
嫌がる沙耶の背中を楓がグイグイ押す。
「やめてやれ。嫌がってる奴を連れてってどうする。」
俺は沙耶をかばうように沙耶と楓の間に入る。
「湯島君が画期的なアイデアを出してくれたんだよ。お化けは怖がっている人に見えるんじゃないかって。」
沙耶は啓介のことをキッと睨む。啓介は真っ青になってブンブンと首を横に振った。大方、霊を探し始めた楓を動かすために言ったんだろうなと思いながら、はぁとため息をつく。
「なぁ、沙耶。」
俺が話しかけるとビクッと沙耶の肩が反応する。
「行きたくないんだよな?」
沙耶はコクコクと頷く。
「じゃあ、今回は行かないということで。」
「えぇー!」
「それでも行って欲しいなら俺だけで行くさ。」
「むむむ!仕方ないなぁ、私も少し押し付けすぎたと思うし。」
「じゃあ、行ってく…?」
俺が山の方へ向かおうとすると、俺の服の裾を沙耶がキュッと握っていた。
「わ、私も行く。」
「おいおい、無茶しなくていいぞ。」
「そうだよ、別に行かなくたっていいんじゃないかな?壮真も別にいいじゃない、2組行っていなかったんだよ。つまり、霊はいないってことなんだよ。」
(…こいつ、見たな?)
会ってまだ間もないが、この行動が啓介らしくないのは分かる。おそらく、霊を見てしまったのだろう。
「そ、壮真が行くのに、わ、私が行かないのは、どうかと思うの。」
「意地っ張りだなぁ。じゃあ、俺は行かない方で。」
「えぇー、せめて、壮真だけでもー。」
「駄々をこねるな、楓。今度適当なホラースポットについてってやるから。」
「だ、大丈夫。も、もしもの時は壮真が守ってね。」
沙耶は声が震えながら、声だけじゃないな、体もプルプルさせながら、そう言う。沙耶が小動物的な可愛さを発している。
「あー、ほんとに意地っ張りだな。まぁ、任せとけ、お化けが出てきたら、退治してやるよ。」
「な、なら行く。」
沙耶はキュッと目を閉じ、俺の裾を掴んだまま、俺についてくる。
「まぁ、行ってくる。途中で無理っぽかったら、帰ってくるから。」
「そ、そうね。私もやりすぎた。」
今頃、気づいたのか楓は顔を青くしてオロオロとしている。沙耶に嫌われたかもとか思っているんだろう。
「まぁ、帰ってきたら謝っとけ。」
「そ、そうする!」
「じゃあな。」
俺と沙耶は山に入っていった。
(山の中腹付近にいたって話だ。まぁ、そこらで、目を閉じさせておけばいいだろ。)
「沙耶、危ないから目は開けとけ。まだ入り口付近だ、霊は出ないだろうよ。」
「ほ、ほんと?」
「ほんとほんと。」
(あーちくしょう、可愛いなぁ。)
いつも気が強く、喧嘩も強い沙耶が弱いところを見せてこうも頼ってくれるというのはギャップがあっていい。
(壮真、やさしい。)
沙耶は自分の先を行く壮真の背中を見つめていた。
(あの時もそうだった。)
沙耶は春休みの時に一度壮真に助けられている。沙耶はその時、壮真に惚れてしまったのだ。沙耶は自分自身が意地っ張りで勝気なことは分かっていた。男子に負けたくない一心で、心身ともに鍛え、男子に負けないほどの武を手に入れたのだ。
その一方、沙耶はお姫様に憧れていた。自分を守ってくれる男性がいい。自分は合気道と空手で段持ち、組手をすれば、同じ段の大人にすら勝つことができるほどだ。そんな男、同年代にはいないであろうことは薄々気が付いていた。
(でも、壮真は…)
沙耶がピンチの時、壮真は助けてくれたのだ。そんなの、惚れないわけがない。
「きゃっ!」
そんなことを考えながらぼーっとしていると、いきなり壮真に抱きしめられた。
「…そろそろ出てきてもおかしくないからな。目つぶっとけ。」
沙耶の顔は壮真の胸あたりに埋まっていた。少し苦しいが、言われた通りに目をつぶっておく。
(やれやれ、霊は捕まえとかないと…な!)
右眼で霊の位置は把握できていたので、肉眼では見えない霊を左手で捕まえる。
(そこまで強くないな。)
醜悪な見た目の餓鬼を左手に取り込む。何事もなく終わったので安心して、そのまま寺の前まで進む。
「もう大丈夫だぞ。」
沙耶は壮真から顔を離し、目を開けると寺の前だった。急いで、沙耶は寺の写真を撮る。
「さて、戻るぞ、戻りは目を開いて歩いてみろ。」
「う、うん。」
壮真にそう言われたので、目を開けたまま、下に降りていった。時々、怖くなって目を閉じるが、壮真が優しく声をかけてくれたので、もう一度目を開けるを数回繰り返した。
「さて、ついたぞ。よく頑張ったな。」
幼児退行したような沙耶についつい頭を撫でてしまう。
(おっと、しまっ…あれ?)
沙耶はちょっと恥ずかしそうにしているが俺の手を払いのけず、されるがままに撫でられている。
(…そんなに怖かったのか。)
見当違いな考えをしていることに気づかぬまま、俺と沙耶は無事下山した。
「ごめん!沙耶、私が悪かった!」
帰ってきて早々、楓は沙耶に頭を下げる。
「だ、大丈夫。」
「こ、今後はこんなことないように気をつけるから!」
「楓のオカルト好きは分かってたわ。私が譲歩したのが間違いだったの。」
(おっ、調子が戻ってきたな。)
「あれ?沙耶ちゃん。」
「少し反省してなさい!」
沙耶は楓の腕を取り、技をかける。少ししか手が動いてないように見えるが、沙耶がやっているのだ、かなり痛いだろう。
「痛っ!痛たっ!ちょっ!ストップ、沙耶ちゃん!折れちゃう!」
沙耶が手を離すと、楓は沙耶に握られていた部分を持って涙目になっている。よほど痛かったらしい。
「大丈夫、折れてたり、筋を痛めたりはしてないわ。そこはきちんと気をつけてたもの。」
「ひどいよー、沙耶ちゃん。」
「楓もひどいことしたじゃない!」
「うぇー、もうしませーん。」
「ま、楓もこれに懲りて、オカルトになると暴走するのを治さないとな。」
「はーい。」
楓がシュンとなっている。よっぽど今回のことはこたえたらしい。俺は楓のオカルト暴走の治療がうまくできそうでラッキーだ。
「さ、帰ろう帰ろう。明日は無人島だよ!ここが噂だったということはあっちも無人島も噂だろうね。たまたま、衛星写真に写らなかっただけだよ。」
(啓介…虚勢張ってるな。)
ハハハと啓介は笑っている。俺にとってはそうでもなかったが、餓鬼が怖かったらしい。俺はもっと悍ましいものを見たことあるので、そこらの感情はもう壊れているのかもしれない。
「皆様、お乗りください。」
リムジンに乗り、屋敷に戻るとすぐに部屋に入り、皆、糸が切れたかのように眠った。
明日も投稿しますが、その後はポツポツと投稿することになると思います。
もし、明日までにブックマークが3人以上、評価ポイントが20超える、総合ポイントが総合ポイントが総合ポイントが15を超えるのどれかを満たしたら、特別話として、今回の話に出てきた春休みに沙耶のピンチを壮真が救った話を出そうと思います。
未だ、どれもゼロです。じゃんじゃか、登録、評価してください!




