初任務?
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「いきなりですが皆には全国大会を目指してもらいます」
「え、どうしたんですか急に」
突然扉を開けて部室に入ってきたのは麻雀の部長である牧之原 皐月だった。
彼女はこの桜花学園の生徒会の副会長を務めている眉目秀麗、才色兼備とまさに皆の憧れといった人物である。
部活に顔を出す時はだらしないイメージが多いので緊張しなくて接しやすい。
「いやー、会議の方で最近部活増えすぎじゃないかって議題になってね」
「あー、確かにこの学校って部活動自由に設立できますもんね」
「そそ、だからちゃんとした活動してないと廃部の可能性が出るようになりました」
「だからって何で全国大会なんですか?」
「そ、それは …… 」
部長が目を泳がす。
その後一呼吸置き話し始める。
「副会長が所属している部活なのだから立派な活動記録を期待してますって言われて」
「なら全国大会出場しなきゃ廃部にしますって啖呵切っちゃってさー」
「ちょっと待ってよ」
「もし全国行けなかったら私のサボり部屋が無くなっちゃうじゃん」
佐倉先輩が物申したがそもそもがおかしかった。
部室をなんだと思っていたんだ。
ただ佐倉先輩は真剣だった。
空になったお菓子の袋がそれを物語っている。
「全国大会に行けば存続するから」
「それにうちの部には葵がいるしね」
「あ、そっか」
「葵ー、私の分も頑張ってなー」
俺に対して過大評価過ぎる。
確かに俺の能力は有利だけども。
部の皆は能力のことを知りもしないのに。
「待ってください」
「流石に全国大会ってそんな甘いものじゃない気が …… 」
「えー、葵ならなんとかなるでしょ」
「佐倉先輩が楽したいだけじゃないですか ? 」
「そ、そんなことないよー」
佐倉先輩はお菓子を食べてだらけるしかできない体なのだろうか。
むしろ部室がなくなった方が佐倉先輩のためかもしれない。
「でも意外ね」
「葵くん乗り気ではないけど全国大会を目指そうとしてくれるのね」
「まぁ、ここで文句を言っても覆りませんでしょうし」
「葵は冷めてんなー」
佐倉先輩が茶々を入れる。
自分は関係ないと思っているように。
でも確かに俺はこの件に乗り気ではないが文句は言わない。
何故なら先程に部長が目を泳がした時に部長の目を見て思考が読めてしまったからだ。
部長は嘘をついていた。
この嘘が俺はとても嬉しかったから文句は言わず全国大会を目指そうと思った。
「俺的に全国大会目指すのは構いませんが条件があります」
「後輩なのに条件だと ? 」
「俺だけに押し付けず勿論ですが全員参加でお願いします」
「その方が部長的にもいいんじゃないですか ? 」
「ホントに葵くんは人の考えることが分かるみたいだね」
「たまたまですよ」
部長は生徒会副会長がいる部活だから良い成績を残せと言っていた。
だが実際は違う。
麻雀部は問題児たちの溜まり場だ。
生徒会副会長の牧之原 皐月が居るべき場所ではない。
だから廃部しようという話になっていた。
そこで部長は全国大会に行けば廃部にはさせないと啖呵を切ったのだ。
つまりは俺たちのために部長は怒ってくれた。
俺たちのためにしてくれたのに。
そのことを隠し俺たちに嘘までついて。
「桃花はどうかな ? 」
「一緒に全国大会目指してくれるかしら ? 」
「部長のことですから他に何か理由があるんでしょうし微力ですが頑張らさせていただきます」
「そ、それに私はこの部活が好きなので」
「桃花がデレた」
余計なことを言った佐倉先輩は白羽さんに怒られている。
あれ ? 白羽さんの人見知りって既に治りかけてるんじゃ?
そう思える程に柔らかい表情をしていた。
「みんな、急なことだったけど快諾してくれてありがとう」
「あれ ? あれ ? 私の意見は ? 」
「一致団結して全国大会を目指そー」
「「お、おぉー」」
「ねー、私の意見はー?」
こうして俺たちは全国大会を目指すこととなった。
「ちゃんと目指すなら合宿とかするんですか ? 」
「それは無理よ」
「え、なんでですか !? 」
「全自動卓買ったのよ ? 部費なんて残ってる訳ないじゃない」
全国大会への道のりは険しそうだった。
だが俺は少しワクワクしていた。
好きな麻雀で自分がどれほど通用するのか試してみたかった。
その機会が今あるのだ。
そのためにもっと強くなろうと決心した。
「ねー、私のこと無視しないでよー」
佐倉先輩の悲痛の叫びが校舎にこだました。
「ごめんごめん」
「楓のことは信用してるから」
「先輩なんだから頼りになるとこ後輩に見せてあげなさい」
「もー、しょーがないなー」
「私先輩だからなー先輩だもんなー」
佐倉先輩はチョロかった。
おだてればおだてるほど気分が良くなるから簡単だ。
たまに先輩らしいとこを見せてくれるが基本は子供なのだろう。
「その先輩楓に一発目の仕事を与えます」
「先輩だからね、ドンと任せなさい」
「この麻雀部の幽霊部員を引っ張り出してきなさい」
「うげ …… 」
「先輩なんだから任せたわよ」
「それじゃ生徒会の仕事に戻るわね」
部長は颯爽と部室を出ていった。
その後ろ姿はいたずらっ子のように楽しそうだった。
「あの、幽霊部員って?」
「葵、桃花、あんた達に任せた !!」
俺と白羽さんに任務が課せられた。
部長から佐倉先輩に課せられた任務を俺たちに課してきたのだった。
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