告白
第2話の投稿です。
開いてくださいありがとうございます。
是非是非読んでいただきブクマや感想などお願い致します。
それでは本編をどうぞ。
「ふぅ …… やっと落ち着いた」
「大丈夫 ? もう少し休んだ方がいいんじゃ」
白羽さんは心配してくれていた。
自分が傷ついたであろうはずなのに傷つけてきた俺に対して。
なんて優しいんだろうか。
そしてこんな優しい子を俺は傷つけてしまったのかと後悔の念が押し寄せる。
「大丈夫大丈夫、ごめんシリアスな場面だったのに」
「改めて、さっきは無神経なこと言ってごめん」
「 ………… 」
白羽さんと俺の間に沈黙が流れる。
これは相当怒っているのだろう。
どうすれば許してもらえるんだろう。
やはり土下座か?
土下座しかもう手札は残されていない。
「何か変なこと考えてない ? 」
「い、いや真剣に考えてるよ」
白羽さんが沈黙を破ってくれた。
ただ図星をつかれてしまったせいか声が上擦ってしまい余計怪しくなってしまった。
でもなんで俺の考えてることが変だと気づいたのだろうか。
まさか白羽さんも思考が読める !?
「また変なこと考えてそう」
「さっき言ってた相手の視線から考えたりしてることが分かるってホントなんだね」
「目は口ほどに物を言う、か」
「あ、そっちの話ね」
「ん ? そっちって ? 」
「いや気にしないでこっちの話だから」
墓穴を掘ってしまうところだった。
てっきり俺の能力がバレたかと思った。
「ふふっ、そっちやこっちってどっちなのさ」
白羽さんは笑った。
とても自然で優しい笑顔だった。
普段の顔からは想像できない表情だった。
「綺麗だ …… 」
「 …… へ ? 」
しまった。
つい口が滑って思ったことが口に出てしまった。
恥ずかしい。
ただ白羽さんの笑顔はそれほどまでに魅力的だった。
俺の言葉を聞いて引いているのか白羽さんは下を向いている。
「ごめん、つい思ったことが」
「いや、違う。違くもないけど」
「だ、大丈夫だから !! 」
「こっちを見ないで …… 」
あぁ、拒絶されてしまった。
白羽さんからこんな大きな声初めて聞いたな。
もう部活も気まづくなるし辞めないとかな。
と思っていると白羽さんが話し始めた。
「急に大きな声出してごめん」
「磐田くんが変なことを言うからビックリしちゃって」
その声に反応して落ち込み下を向いていたが顔を上げた。
目に入ってきたのは顔を真っ赤にした白羽さんだった。
「私ね、直したいんだけど人見知りが激しくて人と話す時緊張しちゃうの」
「そのせいで顔が無表情になったりキツイ言い方になったりしちゃって」
「それで人に不快な思いをさせてしまって」
「もちろん磐田くんにも …… 」
「ごめんなさい」
白羽さんは俺に打ち明けてくれた。
自分の悩みを。
真っ直ぐ俺を見つめて素直な気持ちを伝えてくれているのだろう。
勇気をだして本心で。
手が掴んでいるスカートにはシワが寄っている。
「俺の方こそごめん」
「全然悩んでることに気づけずに無神経なこと言って傷つけて」
「楓先輩にも怒られたよ」
相手が真っ直ぐぶつかって来てくれてるのだ。
自分も真っ直ぐに話さなければ。
「俺なんかでよければ手伝わせて貰えないかな」
「手伝う ? 」
「白羽さんの人見知り改善大作戦的な」
「ふふっ、なにそれ」
「でも、ありがとう」
先程の笑顔と同様にとても自然な顔をしていた。
この表情が本来の白羽さんなのだろう。
天使かと思う程魅力的だった。
だが俺は白羽さんの目を真っ直ぐ見ることができなかった。
今ここで目を見てしまい思考を読んでしまうのはズルいと思ったからだ。
それと内心どう思われてるとか知るのが怖かっただけなのかもしれない。
「こんな話に付き合わせてごめんね」
「楓先輩を部室に一人でするのも悪いし戻ろっか」
「ってもうこんな時間 !? 」
「俺の体力がないせいで …… 」
「私は磐田くんの体力作りを手伝おうか?」
「運動は嫌いだ」
「ふふっ、それじゃ部室に戻ろっか」
「頼りにしてるね磐田くん」
西日のせいで白羽さんの顔は見えなかった。
果たして白羽さんはその時どんな顔をしていたのだろうか。
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「よー、やっと戻ってきたなー」
「私をぼっちにしやがって」
二人で部室に戻ると佐倉先輩が待ってくれていた。
最初から心配していなかったのかソファに寝そべりお菓子を食べていた。
「ご迷惑かけてしまいましたね」
「桃花は気にすんな」
「悪いのは乙女心が分かってない葵のせいだからな」
「自覚してますから意地悪しないでくださいよ」
佐倉先輩は麻雀部のムードメーカーだ。
本来傷ついてたであろう白羽さんに気遣いながら俺を弄り笑いを誘っていた。
大人の対応というやつか。
普段はアホなのに頼りになる先輩だ。
「結局部長は一瞬だけ顔見せて帰ってったよ」
「明日は部活に参加するってさ」
「部長は忙しそうですもんね」
「学業に家業とすることいっぱいで私には無理だな」
「佐倉先輩はアホですもんね」
「あーおーいー」
また口が滑ってしまった。
口は災いの元だ。
運動不足よりも口の軽さを直したいと思う俺であった。
「調子に乗りすぎだー乙女心も分からないくせに」
「これは罰だ」
ビシッ
そう言ってデコピンをされた。
とても痛い。
額の奥の方まで響くデコピンだ。
こんな小さい佐倉先輩のどこにこんな力が。
「 …… 痛い」
「大丈夫 ? でも今のは完全に磐田くんに非があると思うよ」
「心も痛い …… 」
白羽さんの言葉は心臓を抉った。
自分が悪いと自覚しているが白羽さんに言われるとダメージが倍増する気がする。
白羽さんは天使でもあり悪魔でもあるかもしれない。
「また変なこと考えていない ? 」
「滅相もございません」
「ははっ、二人とも仲良くなったようだな」
「良かった良かった」
佐倉先輩はニヤリと笑った。
最初からこうなることが分かっていたかのように。
一年先に生まれただけなのに大人に見える。
などと考えてる内にチャイムがなった。
「お、もう帰宅時間かー帰ろ帰ろ」
「明日の部活は久しぶりに四人で打てますね」
「部長が卓に入るならな」
「確かに部長はネトマしかしてるイメージないですね」
「せっかく二人仲良くなったんだから協力して明日部長に一緒にやろうってお願いしてみ」
「面白いものが見れるから」
子供のような笑顔を見せる佐倉先輩は白羽さんとは別の魅力があった。
大人の一面と子供の一面のギャップのせいだうか。
雑談をしているうちに校門に着き佐倉先輩とは別れた。
白羽さんと二人で駅まで向かうがお互い緊張してるのか話が弾まない。
そのような空気のまま駅に着いてしまう。
駅に着き改札を抜けホームへ向かうが二人は逆方向になるのでここでお別れだ。
「それじゃ、また明日」
「うん、また明日ね」
お互い簡単な挨拶をしそれぞれのホームへ向かう。
また明日話せばいいそう思いながら俺は歩いていた。
すると後ろから声がした。
「磐田くん、今日はありがとう」
「明日もよろしくね」
白羽さんが俺に届くよう大きな声で言い放った。
顔を真っ赤にしながら。
周りの視線を自分に集めてしまったことに白羽さんは気づきペコリとお辞儀をして走り去って行った。
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