表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔弾転生  作者: 藤本敏之
第4章
98/129

第95話

久々の更新です。

しっかりと休んだフィリスは魔素も回復し、朝早くから叔父であるマーティスに書状をしたためた。現在のミカヅチ王国の現状、食料等の補給の必要、また人員を何名か送って欲しいと書いた。そしてその書状をライファに渡すと、スイレンとライファ、ミロはヴォルファー王国へと向かった。早ければ今日中に帰ってこれると言われたが、ゆっくりで構わないとは伝えた。そしてフィリスは三人を見送った後、アサギの元へと向かう。部屋の前に着くと、中から声が聞こえてきた。

「アサギ様…本当に良かった!」

その声を聞いて、フィリスが扉を叩く。

「誰ですか?」

さっきの声の主が声をかけてきた。

「私です、フィリスです。中へ入っても宜しいですか?」

まずは様子を伺う。

「フィリス様、どうぞ!」

中へと促され、フィリスが中へ入ると、アサギは起き上がっており、カスミがアサギに抱きついていた。

「フィリス様、アサギ様が…こんなに元気になられました!」

「カスミ様、少し離れてください…」

困惑しながらも、アサギは優しくカスミの頭を撫でている。そしてカスミがアサギから離れると、アサギはフィリスに深々と頭を下げた。

「フィリス殿、この度は有り難う御座いました。そして…先日は失礼を致しました。」

「…?」

「カスミ様と一緒におられた貴殿に…」

「あの事でしたら気にはしておりません。初めて会った者に警戒するのは当然です。逆の立場であったなら、私でもそうしていました。」

「改めて自己紹介を致します。アサギ・アマツカ。この国の王、レイジ・ミカヅチ様、そのご息女であられますカスミ・ミカヅチ様とリョウ・ミカヅチ様の…そちらでいうと近衛隊長をしております。正確には侍大将と呼ばれております。」

「そうですか…私はフィリス・ヴォルファー。ヴォルファー王国国王、マーティス・ヴォルファーの甥です。」

「そちらの国の…そうでしたか…失礼を致しました。」

アサギが再び頭を下げると、カスミも頭を下げた。

「アサギさん、カスミさん、出来れば今まで通りに接して頂きたいのですが。私は国の長の甥で、国王ではありませんし…」

「そうですか…」

そう話していると、フィリスとアサギのお腹が同時にぐ~っと鳴った。

「…これは失礼。」

そうフィリスが話すと、収納魔法から小包を取り出す。中にはクッキーが入っていた。それをフィリスは一齧りすると、アサギとカスミの前に差し出す。

「フィリス殿、これは?」

「クッキーという、ポピュラーなお菓子です。毒は入っていませんよ。」

そういうと、アサギとカスミの手に乗せる。最初は食べるのを躊躇していたが、思いきって齧る二人を見てフィリスは笑う。そしてその美味しさに驚きながら、二人はどんどん食べていく。フィリスは追加で何袋か出して、三人で食べながら話をしていると、扉が叩かれる。

「フィリス君、マティーナだけど…って!ズルいよ、三人だけ!」

そういってマティーナ、エンレン、ランファ、マリアーナ、ハクアが男の子を一人連れて入ってきた。

「カスミお姉ちゃん、アサギお姉ちゃん~!」

男の子がカスミとアサギに抱きつく。年の頃五歳位だろうか…

「初めまして、フィリスです。」

フィリスがそう挨拶すると、男の子はフィリスの方をむいて、

「リョウ・ミカヅチです。初めまして、フィリスお兄さん。」

「昨日ようやく…モグモグ…治ったのです。」

ハクアがクッキーを咀嚼しながら言う。フィリスはそんなハクアを胡座をかいて膝に乗せる。

「アサギさん、この子はハクア。そしてこちらがマティーナ、エンレン、ランファ、マリアーナです。あと三人いるのですが、帰ってきたら紹介します。私の大切な人達です。」

「そうですか。アサギ・アマツカです。」

「うんうん、アサギ君も元気になって良かった。」

「マリアーナのお菓子も食べれるぐらい回復したのなら安心ね。」

「そうですけど…フィリス様、せめてお茶ぐらいは一緒に準備した方が宜しいかと。」

「そうじゃの。妾のお菓子は水分を補給しながら食べるのが一番美味しいのでの。」

「しゅうふんほひひいのふぇふ。(充分美味しいのです。)」

口々にそう言う。フィリスは収納魔法からお茶のセットも取り出すと、ランファに渡し、ハクアをマリアーナの膝に乗せる。

「さて…と。」

「フィリス殿…?」

「レイジ国王の状態を診てきます。アサギさん、無理は絶対にしないでください。みんな、あとは頼むよ。」

そう言ってフィリスはレイジの元へと向かう。


レイジの部屋では従者が何人か付きっきりで診ている。レイジは起き上がっているが、まだ完治はしていない。

「おお、フィリス殿…」

「国王、大丈夫ですか?」

「ふむ、レイジと呼んでくれて構わぬ。」

「それではレイジさん…」

「ふむ…私も普通に話してよいかな?」

「勿論です。」

「フィリス、そちのお陰でほぼ治った。感謝をしてもしたりない。有り難う。」

「いえ…レイジさん、リョウ君、アサギさんの容態も回復しつつあります。原因であったヒュドラも討伐し、現在は我が叔父であるマーティス・ヴォルファーに手紙も出しました。この国において、必要なことはありますか?」

「…充分過ぎるほどだ。しかし…なぜ貴殿達はそこまでしてくれるのだ…?」

「困った時には助けるものでしょう?」

「しかし…俺達には返せるものが…」

「無償でとは言えません。しかし…この国の事を学ばせて頂きたいのですが…?」

「…?」

「実は、私は転生してきました。この世界でもう20年ほど過ごしていますが、かつての生活がこの国と似ていたもので…」

「うむ。それが望みであるなら、俺は止めはしない。好きに見て貰って構わない。」

そう言われて、フィリスは嬉しく思い、再びレイジに回復魔法をかけて、部屋を出ていった。

久々過ぎて、お待たせしていた方々、すみませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ