表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔弾転生  作者: 藤本敏之
第4章
97/129

第94話

四龍が地下から戻ってみると、フィリスとマティーナが治療を続けていた。マリアーナ、ミロ、ハクアもその手伝いをしていた。

「フィリス様!」

エンレンがスイレンをおんぶしながら話しかけると、フィリスも四龍の方を見る。

「…!スイレンはどうしたんだ!?」

フィリスは治療を中断し、スイレンの元へと駆け寄る。

「地下水の浄化を行って…疲れて寝てしまったんです。」

「…そうか。でも、その様子だと…?」

「無事に浄化は終わりましたし、その元凶であったヒュドラも討伐は出来ましたわ。」

ライファとランファが持ってきた巨大なヒュドラの死体を見て、フィリスも驚いた。が、一番驚いていたのはカスミだった。

「そんな…おかしいです…」

その言葉にフィリス達は首をかしげる。

「カスミさん?」

「あ…すみません…このミカヅチ国にはヒュドラはいないはずなのです。」

「いないって…現にこの死体は…」

「はい…ですから驚いているんです。」

「…恐らく誰かが持ち込んで、人為的に水源に入れた。」

スイレンが目を覚ましてそう告げる。

「スイレン、無事かい?」

「…フィリス様、すみません。…力を使いすぎて…」

「有り難う、スイレン。無茶をさせてしまったね。」

「…問題ありません。姉さん達も有り難う。」

スイレンはエンレンの背中から降りる。

「…水源の浄化は完了していますから、もう水を飲んでも大丈夫。…ただ…今年の収穫物は期待しない方がいい。」

「それは…?」

「…一度毒素を含んだ作物は食べるべきじゃない。」

「しかし…困りましたね。備蓄している食糧は少ないんです…」

カスミが困った顔をする。一時、フィリスは考えると、

「スイレン、ライファ、ミロ、頼みがある。」

「…?」

「どうされましたか?」

「何でも言ってよ、パパ!」

「3人でヴォルファー王国に行って、叔父上に説明をして、食糧危機を伝えて欲しい。」

「…解りました。」

「フィリス様、出発は明日で宜しいですか?スイレンを休ませたいので…」

「勿論だ。直ぐに3人は休んでくれ。」

「解ったよ、パパ!」

3人はミカヅチ国の城の一室に向かって、休むことになった。

「ふぅ…なんとかなりそうだけど、ここからが大変だね。」

「そうですね、マティーナ先生。」

「フィリス君も休んだ方がいいんじゃないかな?」

「そうは行きませんよ。」

「でも、フィリス君の魔素も無限では無いだろう?」

「先生も疲れているでしょう?」

「まあ、年の功で最小限の魔素での治療は慣れてるから。」

「私は未だ無駄が多いですか?」

「うん。多人数を治すのにはまだまだ修行が必要かもね。そうだ、アサギ君の治療に行ってきたらどうかな?」

「そう…ですね。残りの魔素で治療すれば、彼女は明日にも治るでしょうけど…」

「カスミ君も心配しているから、早く治って貰った方が良さそうだし。頼むよ、フィリス君。」

そう言われて、フィリスは一礼して、城へと向かった。アサギの元へ行くと、数人の医者が治療をしていたが、良くはなっていない。

「おぉ、フィリス殿。」

医者がフィリスに気付き、声をかけた。

「やはり…貴殿達の魔法でなければ治りそうにはありません。我々は魔法は使えませぬし、薬草も毒にやられてしまっていて…」

「解っています。供の者からアサギさんの治療を急いだ方が良いと言われて来ましたが…彼女の衰弱は他の方の比ではないですから。」

「彼女はレイジ様達国王直属のサムライでして…毒などに耐性はあるはずなのですが…」

「…恐らく、それまでに蓄積された抗体が悪影響を及ぼしたんですね。私の残りの魔素で、治療をしますよ。」

そう言って、フィリスはアサギの治療を行った。そして魔素を使いきり、フィリスも休むことになった。その間も、マティーナが治療を行い、ほぼ全ての人のヒュドラの毒はなんとか治療された。

読んでくださっている方々、有り難う御座います!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ