第84話
3人が出ていった後、フィリスは皆に質問する。
「そういえば、現状はどうなってる?」
「私とライファの方から説明をしますね。」
先ずはエンレン、ライファの北への遠征組からだ。
「元々、凶悪なモンスターが多いとは聞いていましたが、蓋を開けてみたら、ゴブリンやトロールが多いですね。巣もあったりしたので発見次第壊滅して、順調に進んでいます。今はこの国から見える一番高い山がありますよね?あそこの麓までは行っています。」
「ただ、バリロッサ帝国から来ている冒険者も兵士も何の役にも立ってませんね。確かに街への被害は少なかったとはいえ、自国の兵士が働いていて、あの国の人間は殆どサボっているだけです。フィリス様、如何しましょうか?」
「うん…今は放っておこう。今この王都から出せる人間は殆どいないから、数合わせと捉えておいて欲しいかな。」
「では私達の方もご報告致しますわ。」
そう言ったのはランファ。
「現状、西への遠征なのですが、最初から西の海まで出て、そこから戻りながらモンスターの討伐、道の開拓を行って参りました。」
「うん、前にも聞いているよ。」
「…ただ、現状の問題は人員の輸送。…私とランファ、ミロちゃんだけで道も街も出来ない。」
「ミロちゃんの力を借りて、速やかに人員の輸送を行い、街を作ろうとは思っておりますわ。ですがまだまだ時間がかかりますことをご了承くださいませ。」
「解った。現地の言葉は何よりも良い情報だからね。あとは私達の報告だな。」
「現在までの2ヶ月、フィリス様が各街と村を視察なされた。その結果、無駄と思える施策を排除し、新たな水源の確保や農作物の見直し等をなされておったよ。妾はバーバラ殿や子供達の勉強に追われておって、なにも出来てはおらぬ。」
「そうかな?マリアーナの勉強が解りやすいから、どうしても解らない事だけ聞きに来ているようだけど?」
「…それに情勢は直ぐに変わってる。…教えるのは困難。」
「第一貴女も私達と暮らし始めて勉強しただけなのに教えられる方がすごいわよ。」
「そうですわ。それに知ってる料理や新しい料理をこちらの国に普及しているのでしょう?これ以上求めるものなどありませんわ。」
「皆…」
「うん、皆の言う通りだ。マリアーナは自信をもっていいよ。あとは…学校の設備が整えば問題はないのだけどね。」
「学校?」
「1ヶ月前から建物や人はお願いしてるけど、やはりマリアーナ1人では負担が大きいし、将来的な地盤を固めるために必要なんだけどね。」
「…問題が?」
「学校の長をやってくれる人がいないのと、教師不足かな。人に教えられる程の知識ないらしくて。」
「そうですか。どうしましょうかねぇ…」
「…」
「こんなときにうってつけの人が3人頭に浮かんでしまいますわ。」
「うむ。それはフィリス様も仰られておるのだがな。」
と、そこまで話した時に、扉がノックされた。
「フィリス様、失礼致します。」
「どうかしましたか?」
「フィリス様にお会いしたいと言う方が来られております。ですが、先ず国王と面談した方が良いのかとも…」
「なら謁見の間に通して貰って、同時に行いましょう。国王は?」
「今は会議が終わり、謁見の間におられます。」
「解りました。直ぐに行きます。」
そうしてフィリス達は謁見の間に向かった。
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