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魔弾転生  作者: 藤本敏之
第3章
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第80話

夕方頃、カーマインが帰って来た後、マティーナ、テッド、ティファもやって来た。元々酒を嗜む家族ではないので、リース達が作ってくれた夕食を食べて、普段聞けない冒険者稼業について話をフィリス達はしていた。夕食も終わり、ランファとマリアーナもリースの手伝いをした。その後、応接室に全員が集まった。勿論、フィリスに関係ある人ばかりである。

「さて…何から話せば良いかなぁ。」

マティーナが頭をポリポリかきながら言う。

「うん…フィリス君、君のお父さんが残したっていう、大剣を見せてくれるかい?」

「…?」

少し疑問に思いながら、フィリスはマティーナに剣を収納魔法から取り出して渡す。その剣を、マティーナはじっくりと見る。

「校長先生、どうですか?」

「…間違いないよ。この嵌め込まれた水晶にも、この大きさも覚えている。フィリス君、君のお父さんはモーティスと言うんじゃないかい?」

「そうですが…?

「やはり…モーティス先輩の…」

「知っていたんですか?」

「君に尋ねた事がなかったのは、辛い事を思い出させるのは酷だと思っていたからね。校長先生にも、口止めをされていた。」

「…?」

「騎士学校の教育に支障をきたす可能性もあったし、君は君だからね。人の情報は余り聞かないのが鉄則なんだよ。でも、今回は違う。君に聞きたいことはまだあるんだよ。お母さんの名前、もしかしてミーシャと言うのかな?」

「そうです。」

「やはりね…あの2人の子供か…強いわけだよ。」

「母さんのことも知っているのですか?」

「君の生まれ故郷、ソーン村だっけ?そこの出身者は彼女1人だ。ソーン村…全然聞いたこと無い名前だったから忘れていたけど…ミーシャ・ラングレイ。確かに私の教え子だよ。」

「モーティス先輩もミーシャ先輩も私の1年先輩でね。校長先生の特別クラス出身なのだよ。モーティス先輩は剣技、ミーシャ先輩は魔法で特別クラスに入った。」

「その後、2人は意気投合して、お互いに苦手分野を教えあっていた。卒業後、モーティス君は冒険者になるって言ってたけど、ミーシャ君は村へ帰ると言ってね。お互い離れ離れになったはず…だった。」

マティーナはそこでお茶を一口飲む。

「でも2人の運命が引き合わせたんだねぇ。その後2人は再び出会って、結婚して君が生まれたんだ。そりゃ強いわけだよ。」

「…?」

「モーティス先輩は途中入学で、3年目の大会優勝者、ミーシャ君は1年目、2年目の優勝者だ。その2人の血を継いだんなら、間違いなく強いだろう。」

「…」

「勿論、君の努力があってこそだけど。」

「あのぅ…校長先生…?」

テッドが口を挟む。

「それがフィリスの秘密ですか?」

「生まれとか、どうでもいいです。フィリスはフィリスだもの。私達の親友であることに変わり無いです。」

ティファもそういう。と、マティーナは腕を組んで目を瞑った。

「本題はここからだよ。フィリス君、ヴォルファー王国は知っているね?」

「勿論です。名前だけで…行ったことは無いですが。」

「バリロッサ帝国の西、120キロ程離れた国、ミカヅチ国とも隣接したあの国、恐らくあそこが君のお父さん、モーティス君の故郷だよ。」

「…はい?」

「数年前にカーマイン君から不思議な水晶の剣の話をされて、色や形を照合したけど、結論は直接交易関係の無いヴォルファー王国の方だと思うんだ。我々にとっては未開の地でもある。バリロッサ帝国から話は来るけど、それ以外の情報はないから。」

「…父さんの…国?」

「どういう身分かも解らなかったけど、モーティス君は悪い人間では無かったからね。だからこそ騎士学校にも入れたんだ。だから、君達ギルドエレメントドラゴンに依頼をしよう。」

そう言ってマティーナは大きな袋を取り出す。

「好奇心から来ることだからね。お金は払うよ。依頼内容はヴォルファー王国の内情調査及びモーティス君が本当にヴォルファー王国の人間なのか…調べて来てくれないかな?」

「なるほど…でも、マティーナ先生、お金はいりません。」

「そうですね。依頼と言われても…」

「…フィリス様に関係のあること。」

「直接私達にも関係のあることですから。」

「それに期間も解りませんから。」

「うむ。それに、それを受け取ると、マティーナ殿との関係が壊れるしの。」

「マティーナお姉ちゃん、任せてよ!」

「わふぅ!」

「皆…」

「そういうわけですから、このお金はいりません。暫く帰ってこれないので、冒険者ギルドに連絡もしなければなりませんから、出発は1週間後にします。」

「解ったよ。でも…無事に帰ってきてね?」

「解っています。」

「フィリス、気を付けてな。」

「お父様の故郷だと良いわね。」

「テッド、ティファ…有り難う。」

「さぁ、今日はもう休もう。あ、フィリス。国王には黙っておくから。」

「あなた、それは当然でしょ?」

「フィリス兄さん、頑張って下さい。」

「皆さんも気を付けて。」

「コール、ネーナも元気でね。」

そうしてフィリス達は解散して、ゆっくり休み、次の日から出発準備をして、1週間後、ミロに乗って一路バリロッサ帝国へと向かった。勿論、冒険者ギルドに入国許可を書いて貰ったのは言うまでもない。

読んでくださっている方々、有り難う御座います!

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