第79話
次の日の朝、朝食を食べながらフィリスはファーリスの言葉を皆に伝えた。
「う~ん、なにやらややこしいですねぇ。」
「…でも、ファーリス様の言葉。信じるしかない。」
「まあ、我々にとって絶対神ですからね。」
「でも異世界からの転移者…これからも増えるとなると、厄介ですわね。」
「特殊な力を持って転移してくる…下手をすると妾達やフィリス様を越える輩もおるかも知れませんな。」
「モグモグ…」
「コクコク…ぷはぁ、けぷっ。」
緊張感のないミロとハクアはともかく、四龍とマリアーナは首を捻りながらこの先のことを考えていた。
「向かってくるなら潰すまで。それ以外は不干渉でいよう。それより、今日も冒険者ギルドへいこう。」
「…しばらく休みませんか?」
「多分、アンジェラさんからガデルに行ってほしいと言われるだろうから。そうでなかったら休もう。」
「モグ…ゴクン。わ~い、皆に会える~!」
「わふぅ、楽しみなのです!」
ランファとマリアーナの手料理に舌鼓をうち、1時間後冒険者ギルドへ向かった。
やはりアンジェラから依頼されて、フィリス達は書状を持ってガデル王国の冒険者ギルドへ出発した。ミロに乗って行くので危ないことなど何もない。そうこうしているうちにガデル王国に到着し、依頼を済ませてハーヴィ家にお世話になる。ランファとマリアーナはリースとお菓子作り、ミロとハクアはコールとネーナと遊んでいる。エンレンとスイレンは街の散策に行き、ライファはマチルダと話をしていた。フィリスは1人、騎士学校のマティーナの元を訪れていた。
「ふ~む、異世界転移…ねぇ。」
「あまりにも腹が立ったので始末しましたが、詳しいことを聞いておけばよかったかと、後悔しています。」
「うん…でもそんな危険な相手じゃ話もしてなかっただろうね。バインドは永続的な魔法じゃないし。」
「はい。恐らくあの三四郎なら、15分程で動けたかも知れません。」
「そうなのかい?」
「私の分身、力は私の10分の1程ですが、楽々倒されましたから。昔、バインドの練習の為にかけた時は、その分身ですら30分で解いてました。」
「なるほどね…それで、フィリス君達はこれからどうするの?」
「…正直、このままこのガデルにいるべきではないと思います。」
「どうして?」
「…これからも転移者が来るかも知れません。その対策の為、世界を少し広げるべきかと思いまして。」
「う~ん、難しいよねぇ。下手をするとこのガデルやフレデリックに出るかも知れないし…」
「この大陸ならば問題は無いです。帰ってくる場所もありますから。でも、バリロッサ帝国のある大陸のことは何も解らないので…」
「そうかぁ…うん、フィリス君、今夜の予定は?」
「ハーヴィ家にお世話になるので泊まりますが?」
「解った。じゃあカーマイン君にも伝えておいて。私も家にお邪魔するって。」
「…はい?」
「だから私もハーヴィ家に行くって言ったの。」
「先生は家があるでしょう?」
「勘が鈍くなったかなぁ?大事な話があるんだよ、君についてのね。」
「解りました。同席して良いのは?」
「皆だよ。」
「ではカーマインさんの所に行って、話をしておきます。」
「うん。私もオルステッド君とティファ君に伝えておくよ。」
「2人もですか?」
「まあ、親友に隠し事はしたくないだろう?」
「確かに…お願いします。」
そういって、フィリスは退席して城へ向かい、カーマインに言付けを頼み、その後はハーヴィ家に帰った。ランファとマリアーナ、リースの作ったお菓子を食べてのんびりすることにした。
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