第74話
マティーナと別れた後、フィリスは岩壁から釣糸を垂らし、釣りをする。一時間程釣っていると、約20匹程の魚が釣れた。それを持って皆と合流すると、テッド達も貝や雲丹等を採っていたらしく、昼食のバーベキューに出された。メイド達が焼いてくれたパンも絶品だったが、元々日本人のフィリスは、出来れば焼きそばが食べたいと思っていた。が、材料はない。仕方なく肉や魚介類を食べていると、取っ替え引っ替え四龍達もフィリスの口に食べ物を差し出してくる。自分のペースで食べたいとフィリスはいうが、甘えたがりの7人には通用しない。それどころか、マティーナまでそれに参入してくる。そんな光景をテッドとティファは笑ってはいるのだが、カリナはマティーナを忌ましめていた。その後、マティーナのお気に入りの珊瑚礁を見に行き、皆で更に遊んだ。途中テッドが足をつらせて溺れかけたり、マリアーナをミロとハクアが砂遊びで埋めてなかなか出せなかった以外は問題はなかった。夕方、全員でもっとも高い岩壁から夕日を見つめる。
「楽しかったなぁ。」
「こんな日が続けばいいのに…」
ティファがテッドの肩に身体を預けながら言う。
「それはそれで楽しいけど、やっぱり生徒達の成長を見るのも楽しいからねぇ。」
「珍しいですね、校長。そんなことを言うなんて。」
岩壁に座ってマティーナとカリナが言う。
「ん~、仕事を忘れて休むのもいいなぁ~!」
「…でも仕事も大切。」
「でもフィリス様がいてくれれば…」
「私達は幸せですわ。」
「うむ。以前まではこんな風になるとは思ってもなかったが、妾も幸せです。」
「ぐぅぐぅ…」
「すぴ~」
ミロとハクアは遊び疲れてランファとマリアーナにそれぞれ抱き締められながら眠っている。
「そう言えばマティーナ先生、この海の向こうに大陸があるのですよね?」
不意にフィリスがマティーナに質問する。
「うん。船で2日程かかるけど、別の国があるよ。でも、このバーデンからは船は出ていないよ。少し南のハーフェンからだけど…どうしたの、フィリス君?」
「…いえ、いつか行ってみたいなと思いまして。」
「そうかぁ。でも、行く前には連絡してよ?寂しくなるから。」
「勿論です。先生やテッド、ティファ、ハーヴィの皆さんには報告してからにしますよ。それに…砂漠の街の家もそのままにしては行けませんから。」
そういうが、フィリスはもっと世界を見たい、そう思っていた。
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