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魔弾転生  作者: 藤本敏之
第3章
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第70話

それから2日後、テッドとティファの結婚式の日になった。教会には沢山の人が集まっている。テッドの親族、ティファの親族は勿論、ハーヴィ家だけではなく元々テッド達の両親の知り合い、テッド達の騎士学校の生徒達、先輩、後輩も来ていた。それだけでも、テッド達が慕われていることがよく解るのだが、かつて魔神王ゼノヴィスとの戦いでの功労者ということもあり、王族のマディソンやカディラック、アリシアも来ていた。

「オルステッド、ティファ、おめでとう。」

「有り難う御座います。」

マディソンからも祝福の言葉がかけられる。

「ティファ、学生時代はごめんなさい…」

「いえ、アリシア様、もう充分に謝罪してくれたじゃないですか。」

アリシアも、学生時代の事を未だに謝罪しきれていないと思い、ティファに謝る。昔のアリシアをよく知る人からは、傲慢さが無くなったアリシアは好意的に受け止められていた。

「しかし…フィリスはどうしたんだ?」

「そうよね、カディラック様とアリシア様が来ているなら、着いてるわよね?」

「我々は四龍の方に迎えに来て貰いましたから、フィリス殿はこのガデルに来ていますが?」

「大丈夫、来ているよ。」

そう声がした方を5人が見ると、マティーナとカリナがいた。

「式には参加していたんだけど、用事があるから食事の時間までは2人に会わない、そう言っていたよ。まあ、すぐに来ると思うけど、とりあえず私達からのプレゼントだ。受け取ってよ。」

マティーナがそう言うと、カリナがテッドに、マティーナがティファにラッピングされた箱を渡す。

「校長先生、開けていいですか?」

「勿論。」

2人が同時に箱を開けると、そこには素晴らしいネックレスが入っていた。テッドのは黒いチェーン、ティファのは白いチェーンだが、2つともダイヤモンドがあしらわれた物だった。

「…校長先生!」

「有り難う御座います!」

「早速着けてよ。」

マティーナがそう言うと、テッドとティファはお互いネックレスを着け合う。2人ともよく似合っていた。

「でもマティーナ先生、ダイヤモンドなど良く手に入りましたね?」

マディソンがそうマティーナに質問する。

「うん。何せ、調達にはフィリス君達の力を借りたからね。」

「まさか…あの火山に!?」

「まあ彼らの力なら余裕だと思って行って貰ったんだ。」

「全騎士団を派遣しても、ダイヤモンドは取れない…そんな危険な場所から…」

「…末恐ろしいですわね。」

そんな話をしていると、食事の時間になった。教会の庭で、沢山の料理が並べられる。因みに、今回の資金は全て王国持ちである。マディソンが、魔神王ゼノヴィス事件の時の報酬を払っていない、せめて資金は払わせてくれないか、と言ってくれたからだ。だからこそ、こんなにも人が集まれたということもあるのだが…

「フィリス…まさか冒険者ギルドから呼び出しでも受けたのかな?」

「ん~、可能性はあるわね…」

「そんなことは無いさ。」

テッドとティファが心配していると、後ろから声がかかる。そこにはフィリス、マリアーナ、ミロ、ハクアが立っていた。

「やあ、2人ともおめでとう。」

「フィリス!」

「遅いわよ!」

「ごめんごめん、支度に戸惑ったんだ。でもようやく出来たから。」

そう言うと、フィリスは後ろを向く。テッド達もその方向を見ると、四龍が皿の四角をもって、巨大なギガントボアの丸焼きを運んでいた。

「ちょうどそこのテーブルが頑丈そうね。」

「…そうね、姉さん。」

「まあこれくらい軽いけど。」

「まあそういうものではないわ。大切な料理なのですから。」

「皆、そっと置いてね。」

「解りました。」

「スイレンお姉ちゃん、もう少し前です!」

「ランファ、傾いておるぞ。」

「そこです!」

ゆっくりと四龍達が運び、マリアーナ、ミロ、ハクアが誘導して、立派なギガントボアの丸焼きが机に置かれる。焼きたてだけあって、香ばしい香りと、脂が滴っていた。

「…フィリス?」

「…これは?」

「2日前に依頼で倒したギガントボアだよ。」

「…いくらなんでも。」

「…大きすぎ。」

「そうかな?皆さんに振る舞えば、あっという間に無くなるわよ?」

「…姉さん、ランファ、マリアーナが料理した。」

「早く食べましょう!」

「まずは主役のお2人分を取り分けますわ。」

「うむ。妾も手伝おう。」

「でもその前に言わなきゃだね!」

「わふぅ、ですです!」

そう言うと、8人並んでテッドとティファの前に立ち、

「結婚、おめでとう!」

声を揃えて伝えた。テッドとティファも、嬉し泣きの涙を流した。結局、ものの30分程でギガントボアの丸焼きは無くなった。焼きたてで、普段口にしていない食材であったので、参加者全員があっという間に食べ尽くしたからだ。骨は収納しておいて冒険者ギルドに渡す予定である。そうして、テッドとティファは皆から盛大に祝って貰えた。その嬉しそうな顔を見て、フィリスも自分の事のように喜んだのは間違いなかった。

読んでくださっている方々、有り難う御座います!

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