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魔弾転生  作者: 藤本敏之
第3章
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第67話

無事にガデル王国騎士学校に戻ったフィリス達は、マティーナに採ってきたダイヤモンドを見せる。

「これはまた…見事なダイヤモンドだねぇ…」

マティーナも驚いていた。本来、サラマンダーや他の龍に邪魔をされて、なかなか大きなダイヤモンドは採れないらしく、フィリス達が採ってきたのはフィリスの拳ひとつ分の、大きなダイヤモンドだった。それも2つ。

「さて、これで材料は揃ったから、私と一緒に来てくれるかな?」

「何処へ?」

「勿論、ダイヤモンドの加工の為に親方君の所にだよ。」

そう話し、マティーナが鈴を鳴らすとカリナが入ってくる。

「校長、お呼びで…フィリス君…久しぶりですね。」

「カリナさんもお元気そうで。」

「カリナ、悪いけど暫く留守を頼むよ。」

「解りました。」

「じゃあ行こうか。」

9人で部屋を出て行く。


店に入って親方にダイヤモンドを見せると、親方は困惑した。

「校長先生、すぃやせん。あっしには…無理なんでさぁ。」

親方がそういう。

「え…?」

「ダイヤモンドの加工が出来たのはうちの親父で、あっしは火は使えやすが、水も風も使えねぇんで…」

「そうかぁ…忘れてたよ。」

マティーナが頭を悩ませる。

「マティーナ先生?」

フィリスが心配そうに話しかける。

「御免よ、ダイヤモンドの加工は水か風の魔法でないと出来ないんだ。一気に切断して、形を整えていく必要があってね…」

「坊っちゃん、すぃやせん。」

「いや、それならうってつけの人がいますよ。」

そういうとフィリスはスイレンとライファを見る。2人とも頷いていた。

「そうか、君のところには四龍がいたのを忘れてたよ!」

「へ?四…龍?」

親方には話していなかったので、目を丸くされた。

「…形を教えて貰えれば。」

「私かスイレンで切断していけますわ。」

「…ライファはやめといた方がいい。」

「あら、スイレン?どうして?」

「…貴女の風では粉が飛ぶ。」

「…確かに。ならスイレンにお任せしますわ。」

そうスイレンとライファが話している間に、親方がかつて父親が加工したのであろう、ダイヤモンドを持ってきた。

「えっと…この形にして貰えやすか?」

それはフィリスも見たことがある、綺麗なブリリアントカットのダイヤモンドだった。

「…大きさは?」

スイレンが親方に質問すると、2人で工房の方へ向かい、話を始める。邪魔なので、フィリス達は店の中で武器や防具を見る。一時間程すると、スイレンと親方が店に戻ってきた。

「…フィリス様、戻りました。」

「お疲れ様、スイレン。どうだった?」

「…納得のいく形にするのに、時間と材料を使いきりました。」

そういうと、親方が皆に加工したダイヤモンドのネックレスを2つ、見せてくれた。

「さすが四龍のお一人。この加工は難しいんですが、3回目でバッチリ、コツを掴んで仕上げてくれやした。校長先生、どうぞ。」

「うん、確かに受け取ったよ。親方君、お代を…」

「いや、あっしはネックレスの土台を作っただけで、スイレンさんが加工してくれなきゃどうしようもなかった。貰うわけには…」

「親方さん、それはだめです。」

「坊っちゃん…?」

「このネックレスは、親方さんが気持ちを込めて作った物。その代金は受け取らないと、御自身の名誉に関わりますよ。」

「…そうですかい?」

「それに、時間があったので他の武器や防具を見せて貰いました。造りが雑な物なんて何一つ無い、親方さんの魂が込められている。テッドもティファも、それをタダで受け取ったとなったら受け取らなくなります。」

「うんうん。そうだよ、親方君。確かにスイレン君の力は借りたけど、元々は形を教えてくれた君がいなくちゃ出来なかったんだから。」

「…すぃやせん。」

「これからも良好な関係でいたいからこそ、代金は受け取らないと…」

「…親方さんの腕に傷が付く。」

「そうですよ、私達も欲しいと思うような素敵なネックレスですもん。」

「ダイヤモンドに負けてはいませんわ。」

「自信を持って。」

「そうだよ、おじちゃん!」

「わふぅ、ですですぅ、」

そう話して、親方はしっかり代金を受け取った。そしてフィリス達はハーヴィ家へと向かった。


ハーヴィ家は少し慌てていた。急な来客、それもフィリス達だからというのは言うまでもないが、更に1人増えていたからだ。

「フィリス様も人が悪い。」

「せめて騎士学校に行く前には連絡を下さいな。食事の準備もあるのですよ?」

バン、リース達は大慌てで支度をやり直したりしていたので、フィリス達は申し訳なく思っていた。そうこうしていると、カーマインも帰ってきて、更に驚かれたが、事情を説明すると、納得してくれた。

「フィリス、明日私と城へ行ってくれるかい?」

「…?」

「実は、誰かがフレデリックの山を無くしたのは聞いていたが、それがベヒーモス…マリアーナさんだと国王に報告しておきたいのだ。」

「解りました。あと6日、滞在させて貰うのに、カーマインさん達に不利な事はさせられません。」

「うん、ありがとう。ところで…」

皆で食卓を囲んで、食事を済ませた後、マリアーナの作ったクッキーを皆で食べていた。

「このクッキー、美味しいな。」

「でしょう?マリアーナが作ったんです。」

「店売りではないと思っていたが…」

「美味しいわね、マリアーナさん、今度作り方をリースに教えて貰えないかしら?」

「すごく美味しいね、ネーナ?」

「はい!」

「ぜひ教えていただきたいです。」

マリアーナのクッキーは、ハーヴィ家の皆に受け入れられた。

読んでくださっている方々、有り難う御座います。

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