第64話
マリアーナが家族となって三日後、暫くは砂漠の町を案内したり、世間の常識を教えていた時の事。屋敷で寛ぎながらランファの煎れてくれたコーヒーと、マリアーナが初めて作ったクッキーで他愛の無い話をしていると玄関から、
「済みません、誰か居られますか?」
と、声がした。エンレンとスイレンが応対し、すぐに戻ってくると、エンレンが1枚の封筒を持っていた。
「フィリス様、ガデル王国から手紙のようです。」
「有り難う。」
手紙を受け取り中を開けると、二枚の手紙が入っていた。フィリスは一枚目をじっくり読み、うーんと唸った。
「どうしたんですか?」
ライファがフィリスに尋ねる。
「この手紙が届いたら、直ぐにガデル王国に来て欲しいと、マティーナ先生から…」
「マティーナ…?」
マリアーナが聞きなれない名前に首を傾げる。
「私の恩師だよ。で、もう一枚は…」
フィリスは二枚目の手紙を読む。すると、少し驚いた顔をした。
「パパ…?」
「何かあったです!?」
ミロとハクアが心配そうにフィリスの左右に立ち、手紙を覗き込む。
「…テッドとティファが…結婚するそうだ。予定では1週間後に…」
「えぇ!?」
「…それはおめでたい。」
「もしかしてマティーナさんも…」
「その件で呼ばれたのかしら?」
四龍も驚いたが、取り残されているのはマリアーナのみ。ため息をついて、何が何やら解らない様子だ。
「マリアーナ、テッドとティファは私の騎士学校時代の友人なんだ。三人とも皆と面識があるから驚いているんだよ。」
「妾が来たのは三日前、それまでの主人様達の交友は知らぬことですから…」
「そうだよね…で、パパ、行くの?」
「勿論。ミロ、飛べるかい?」
「うん、勿論だよ!」
「しかし宿はどうします?」
「…またハーヴィの方々に泊めて貰う…?」
「私達も向こうに行くときにはお世話になってますし…」
「手土産を何か用意致しますわ。」
「いや、今回の手土産は、マリアーナの作ってくれたクッキーにしよう。マリアーナ、まだあるよね?」
「沢山作りましたが…良いのですか?」
「勿論だよ。高価な物より、食べて欲しいと思って作った物の方が皆喜ぶから。」
「では…直ぐにラッピング致しましょう。マリアーナ、手伝ってください。」
「うむ。」
そういって、ランファとマリアーナは厨房へと向かい、エンレン、スイレン、ライファ、ハクアは他の準備、ミロはガデル王国へ向かう準備として体を動かし、フィリスはその運動の手伝いをして、手紙が届いた二時間後、フィリス達はガデル王国へと向かった。
なかなか更新できず、楽しみにしておられる方々、済みません。なるべく書けるように精進していきます。