第63話
砂漠の街に帰ってきて、直ぐにギルドに顔を出す。すると、小さな女の子がフィリス達に気付いて近付いてきて、フィリスに抱きついた。
「パパさん、お疲れ様なのです!」
その女の子を優しくフィリスは抱き締める。と、サーシャが出てきて、
「皆さん、すみません。その子…」
「ただいま、ハクア。」
「えっ!?フィリスさん、解るんですか!?」
「まあ…」
「ずっと寂しかったのです!」
「解った。でも私達は報告があるから、ミロと遊んでいてくれるかい?」
「解りましたです!」
「ハクアちゃん、こっちだよ!」
ミロとハクアはギルドの建物から出ていった。その後、フィリスと四龍、マリアーナはサーシャに事情を説明した。
「なるほど。それでそちらのマリアーナさんが伝説のベヒーモスなんですか…」
「信じて貰えるんですか?」
「まあ…ハクアちゃんを見ていて、不意に人になった時は驚きましたが…ハクアちゃんからも言われてましたよ。新しい家族が来るとは。それで…フィリスさん、どうするんですか?」
「勿論、マリアーナにも冒険者登録をして貰う。でも、クエストに参加させるつもりはありません。」
「どうしてですか、フィリス殿?妾も戦いに…」
そこまで言ったマリアーナを、フィリスは止めた。
「マリアーナは優しい。暴力が嫌いで、傷付けるのも傷付けられるのも嫌なのだろう?」
「それは…」
「だからこそ、屋敷があるからそこを守って欲しいんだ。まだハクアを戦いに連れていく訳にもいかないし、私達が帰る安住の場所を守る、その役目を担って欲しいんだ。駄目かな?」
「フィリス殿…解りました。その役目、妾がしかと承りました。」
「それに、メリットもありますもんね。」
「…マリアーナが入ってくれれば。」
「あっ、ランクが下がるから!」
「不用意に人をいれなくて済みますわね?」
「そういうこと。サーシャさん、それで良いですよね?」
「まぁ…仕方ないです。」
そうして話は纏まり、フィリス達は屋敷へと帰る。外で遊んでいたミロとハクアはフィリスの右手と左手を握り、テクテク歩く。屋敷に着き、中へ入り、フィリスが告げる。
「さてと、エンレン、お風呂を直ぐに沸かして。そして皆でマリアーナをお風呂に入れてあげて。」
「フィリス殿、お風呂とは?」
「暖かいお湯に浸かったり、身体を洗う場所ですよ。」
「…確かに。一般常識を教えないと。」
「数百年あそこから動いてないですし…」
「清潔にしないとですわね。」
「パパも一緒に入る?」
「いや、私は後で入るよ。」
「パパさんも入るですよ!」
「見慣れているとはいえ、流石に恥ずかしい。ゆっくり入りたいから。」
「ふむ…男女は別で入るものか。なかなか興味深いな。」
そんな話をして、フィリス以外全員がお風呂に入る。その間、フィリスは部屋へと戻り、武具の調子をみていた。特に最近使っていないので、傷等は無いが、親方からはなるべく使うようにすると、武具達も喜ぶと言われていたし、メンテナンスがてら磨いたりはしていた。そうこうしていると、ミロとハクアにお風呂からあがったと告げられ、フィリスもお風呂に入る。風呂からあがり、ランファが作った料理を食べ、その日の夜…ミロとハクアは自分達の部屋で眠りについたが、四龍とマリアーナはフィリスの部屋にやってきていた。
「フィリス様。」
「…お願いします。」
「私達も我慢出来ません。」
「お情けを下さいませ。」
そう告げて、服装を扇情的なものに変える。が、マリアーナは何か解らずにポカンとしている。
「そなた達は何故衣装を変えて裸に近くなったのか?」
「マリアーナ、貴女も着替えて。」
「?」
「…今からフィリス様に抱いて貰うの。」
「それはまぐわいの事か?」
「そうよ。」
「しかし…妾達は子を為せぬはずでは?」
「ええ。しかし愛情表現ですわ。」
「ふむ…」
納得したのか、マリアーナも四龍を真似て扇情的な衣装になる。
「…マリアーナ。確かに男女の営みは、愛情表現だ。だけど、はじめての時は痛みが生じる。それでも…私を受け入れてくれるかい?」
「…フィリス殿、妾がもてること、全てを捧げます。」
そう告げられ、フィリスはマリアーナに近付き、優しく抱き締めてキスをし、ベッドに寝かせた。
「なるべく痛くないようにするから。」
そうして、長い夜が更けていった。
読んでくださっている方々、有り難う御座います。




