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魔弾転生  作者: 藤本敏之
第3章
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第54話

翌日の朝、コールとネーナと久しぶりに手合わせをする。2人とも更に上達しているので、フィリスは嬉しく思っていた。驚いたのは、カーマインも2人と訓練をしていると聞いたことだった。実際まだまだカーマインの方が強いのだが、年の功と言えそうな戦い方だったので、あと3年もしたらコールはカーマインを越えるだろうとフィリスは考えていた。3年後、即ちコールが15歳になる頃、フィリスは何をしているか想像していたが、食事が出来たと四龍とミロが呼びに来たので考えるのをやめた。食堂でカーマインがフィリスに聞く。

「フィリス、冒険者になって1週間程だが、如何なのだ?」

「今のランクは赤です。」

「…はぁ!?」

「あなた、五月蠅いわよ。静かに食事をしましょう。」

マチルダが咎める。ゲホゲホ咽せながらカーマインは続ける。

「赤って…上から2つ目のランクじゃ無いか!どうしたんだ!?」

「はい…サンドウォームを30匹近く討伐したら、黒から赤へランクが上がりました。元々は黄まで上げると言われていたのですが?」

「そりゃそうなるよ、サンドウォームを30匹近く…1人で討伐した人間なんていないのだから…」

「そうなのですか?」

「サンドウォームは学生時代戦ったことがありましたから、弱点も知っていますからね。」

「フィリス兄さんは規格外ですから。」

コールとネーナもうんうん頷く。ゆっくりと食事をして、フィリス達は冒険者ギルド本部へ行くと伝えた。その際、フィリスは小さな袋を取り出して、中からボーリングの玉ほどの大きさの魔石を取り出して、カーマインに渡す。

「フィリス…?」

「カーマインさん、恩義はまだまだ返せませんが、せめてこれだけでも今は受け取って下さい。」

「わぁ…」

「綺麗…」

「そうね…フィリス、これは何?」

「サンドウォームの魔石です。1番大きくて綺麗だった物を残していたのです。売るなり加工するなりして下さい。」

「解った…有り難く貰うよ。」

「では皆様。」

「…有難う御座いました。」

「また近々来ますので…」

「その時は宜しくお願い致します。」

「コール兄ちゃん、ネーナ姉ちゃん、またね!」

そう告げてフィリス達は冒険者ギルド本部へと向かった。


冒険者ギルド本部ではキールが冒険者を集めて集会を開いていた。

「それでのぅ、ギルドニールソンと共にソーン村で駐在してくれるギルドを探しておるのじゃ。」

「ギルド長、そりゃあ無理だよ。」

「そんな長丁場で暇そうな仕事、誰もやらねぇよ。」

「うーむ…しかし…」

「だいたい未開拓なんじゃねぇのか?」

「誰も彼も建築とか出来ねぇよ。」

そんな声が飛び交っている。と、キールがフィリス達に気付く。

「おぉ、フィリス殿。来て頂けたか…」

「何、フィリスだと!?」

「あの姿…間違いない…」

「騎士学校武道大会3年連続優勝者が何で冒険者ギルドに!?」

「それは…私も冒険者になったからですが?」

「引く手数多の男が…!?」

「騎士が嫌になったのか!?」

「キールギルド長、これはどういう状況ですか?」

「うむ…昨日のお主達の話を聞いて、この冒険者ギルド本部からもギルドを派遣しようと思ったのじゃが、誰も行きたがらんでのぅ…困っておるのじゃ。」

「皆さん、ソーン村には屋敷が既に建っていますし、水源なども大丈夫です。」

「何でそんなことが解る?」

「つい先日も里帰りしたばかりですから。」

「あんた…その村の出身か?」

「そうです。」

「モンスターの量は?」

「キラーバイソンがたまに来ます。他の危険なモンスターは…」

「大抵倒したわねぇ…」

「…そうですね。」

「4年前から2年間私達が住んでいましたし。」

「危険な生物はほぼいないかと…」

「美味しく頂いたもんね!」

「あんたらまさか…ギルドエレメントドラゴン!?」

「フィリスがエレメントドラゴンの一員とは…!?」

「急成長の秘密はそれだったのか…」

勝手なことを言っているが、エレメントドラゴンは元々四龍のギルドであり、フィリスの実力は逆にランクを下げているのだが…フィリスは黙っていた。

「あのぅ…済みません。私達では駄目でしょうか?」

そういって手を上げている女が1人いた。

「お主は…ギルドサルバトーレの…」

「メフィです。」

「お主達、最近冒険者になったばかりじゃろう?」

「はい。ようやくDランクに上がりました。」

「まだまだ成長できるお主達が何故…?」

「私達、ゆっくりと成長したいんです。それに新しい場所を開拓するのは良いなぁって思うんで…」

「そうか…よく決心してくれた。では、ギルドサルバトーレに決定しよう。ギルドエレメントドラゴンよ、儂の部屋に来てくれんか?」

そう言われて、キールの跡を追うと、ギルド長室に到着する。キールが椅子に座って話し始める。

「お主達に頼みがある…」

「ソーン村まで護衛をしろということですか?」

「そうじゃ。頼めないかの?」

「それは依頼で宜しいのですか?」

エンレンが質問する。

「それで構わない。」

「…依頼料は高いですよ?」

「うむ…」

「歩いていくとなると、時間がかかりますね…」

「確かにのぅ…」

「解りました、お受けします。フィリス様、宜しいですか?」

「歩くのは初めてだよ。」

「…キールギルド長、取り敢えず砂漠の街のアンジェラギルド長に書状を出すのが先でしょう?」

「うむ…そうだったな…」

キールが書状に、ギルドサルバトーレが行くことをしたためると、フィリスに渡した。

「出発はギルドニールソンがこの冒険者ギルド本部に到着してから。ここからソーン村までは2日ほどで着くじゃろうが、道中の護衛を頼む。」

「解りました。」

そうしてフィリス達は砂漠の街へ帰っていった。


昼頃、砂漠の街の冒険者ギルドに到着して、アンジェラに書状を渡す。アンジェラは笑顔で、

「そうかい、あんた達も行ってくれるなら安心だ。」

「送ったら帰りますけどね。」

「…私達も暇じゃ無い。」

「スイレン、そんなはっきり言わないの!」

「余り乗り気はしませんけどね。」

「歩くの面倒くさい!」

「まあ皆、我慢して。アンジェラさん、ギルドニールソンの様子は?」

「大分元気になったよ。あと1ヶ月は猶予が欲しい。」

「まあそれまで私達ものんびりしますよ。」

「解った、今回は有難うね。報奨金だよ。」

報奨金の入った袋をランファが受け取り、フィリス達は屋敷に帰った。

読んで下さっている方々、有難う御座います。

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