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魔弾転生  作者: 藤本敏之
第2章
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第31話

フィリス達がガデル王国を旅立って1時間後、東の砂漠に到着した。

「暑い…」

「こんな所を通っていくの…!?」

まだ砂漠の入り口だというのに、既に汗だくのテッドとティファが、揃ってそんなことを口にする。

「少し前に遠征訓練で来たときより暑いけど、マシな方だと思うけど?」

「この間のバーデンの街で日焼けして以来の暑さだね。でも、大したことないよ。」

フィリスとマティーナは涼しげな顔で平然と前を歩いている。

「なんで…2人は平気…なんだよ。」

「何か…やってるんじゃ無いの?」

砂に足を取られながらもテッドとティファは必死についてくる。ふとフィリスは疑問に思って2人に聞いた。

「テッド、君は水魔法が得意で、ティファは火魔法が得意じゃ無かったっけ?」

「そうだけど?」

「何で水魔法や火魔法でシールドを張らないんだ?」

「へ?」

テッドとティファはポカンとしている。フィリスは話を続けた。

「両方とも暑さや寒さを軽減するシールドが使えるだろう?」

「あ…」

「忘れてたわ…」

そう言うと、2人はそれぞれフレイムシールドとウォーターシールドを張る。暑さが和らぎ、2人とも元気になり、更にテッドが水を出して水分補給をした。

「何で教えてくれなかったんだよ!?」

「前に教えたじゃないか。遠征訓練の時に。」

「あの時は…その…必要なかったし…」

「はぁ、特別クラスなのにこの差は大きいなぁ…」

3人が言い争いをしている中、マティーナはこの先大丈夫なのか心配になる。すると、足元から地鳴りがして、サンドウォームが4匹現れた。

「おいおい!?1匹でも厄介なのに、4匹もかよ!?」

「丁度いい。オルステッド君、ティファ君、君達で倒してみてよ。」

マティーナの言葉に絶句するテッドとティファ。

「マティーナ先生、正気ですか?奴等は…」

「勿論本気だよ。サンドウォームに負ける様じゃ、魔神や魔人には勝てないよ。連れてきた意味が無い。それにフィリス君、君が言ったんじゃないか、修業にもなる旅だって。」

「そうですが…」

「良いぜ、やってやる!」

「燃えてきたわ!」

テッドとティファはやる気満々でそれぞれ2匹ずつ相手にするように陣取った。


テッドは剣を抜き、1匹に接近して斬りかかる。王家の家宝だけあって切れ味は良く、容易くサンドウォームを斬り裂いた。が、血が飛び散りテッドの目に入る。

「うわっ、臭ぇ!」

テッドが目を拭い、見るともう1匹の方がテッドを食おうと口を開けて襲いかかる。

「くそっ!舐めんな!」

テッドは叫んでそのサンドウォームの口の中にアイスニードルを叩き込み、怯ませる。

「これで、終わりだぁ!」

そう叫んでサンドウォームの胴体に回り込んで串刺しにした。何とか2匹を倒して剣についた血を拭い落とした。


同じ時ティファも2匹のサンドウォームに挟み撃ちにされていた。

「くらいなさい、ウィンドエッジ!」

ティファが双剣を振い、魔法の風の刃がサンドウォームを襲う。サンドウォームは元々水魔法以外に耐性を持っており、他の魔法はあまり有効では無い。しかし特別クラスで鍛えられたティファのウィンドエッジは、サンドウォームを斬り裂き、胴体を傷付けていく。

「キシャアアア!」

悲鳴を上げながらもサンドウォームはティファへと近付いていく。しかしティファは落ち着いて、サンドウォーム2匹の接近を待つ。

「今だ!」

急接近したサンドウォームは勢いそのままに突っ込んできた。ティファは風魔法を使って上空へ飛ぶと、サンドウォームは正面衝突した後、複雑に絡み合った。

「心臓は、そこ!」

ティファは上空から急降下し、1匹のサンドウォームの心臓に双剣を突き立てた。そして双剣を引き抜き、もう1匹の心臓にも突き立てた。若干の悲鳴を上げて、サンドウォームは倒れた。


「ふぅ…」

「疲れた…」

テッドとティファはフィリスとマティーナと合流するが、フィリスとマティーナは鼻を摘まんでいた。

「2人とも…諸に血を浴びて…凄い匂いだよ。」

「うん、臭い!」

「そう言うなよ!?」

「大変だったのよ!?」

言われて傷付いた2人。すると再び地鳴りがして、先程の4匹よりも大きなサンドウォームが砂の中から現れる。

「フィリスがやれよ!」

「私達の気持ちがわかるはずよ!」

そうテッドとティファが言った次の瞬間、フィリスは右手にデザートイーグルを召喚し、サンドウォームの心臓に向けて発砲。ズガンッ!と凄まじい音をたてた後、サンドウォームは心臓に穴を開けられ絶命した。

「アイスニードルかファイアーボールでも良かったけど、この方が早い。」

素っ気なくフィリスはそう言うが、マティーナもテッドもティファも口を大きく開けて呆けている。

「なんだよ、皆?口に砂が入っても知らないよ?」

「…やっぱりお前、人間じゃないだろ?」

「…何で?」

「あの威力…恐ろしい…」

「うん…」

それぞれが不思議に思いながらも、取り敢えずテッドとティファは着替えることになり、その後再び出発することになった。因みに、サンドウォーム5匹の魔石は、マティーナが収納魔法が使えたので、保管して貰えることになった。

「ガデル王国に帰ったら渡すからね。」

マティーナがそう言うと、テッドとティファは喜んでいた。


4人が歩き続けて3日後、ようやく砂漠を抜けた先に、小さい村を見つけた。そこで風呂を借りて汚れを落として、4人はその街で1泊し、久しぶりに暖かい食事にありつけた。歩きながらでは携帯食料と水しか取れなかったためだ。

「相違や、ここってガデル王国領なのか?それともフレデリック王国領なのか?」

「まだガデル王国だよ。この先に関所があってね。国境はそこからだから。」

食事をしながらテッドの質問にマティーナが答える。

「フレデリック王国まで歩いてあとどれぐらいなんですか?」

「このペースなら4日かな?3日後にはフレデリック王国の手前のサマルの街に着ければ良いんだけど…」

「今日は早く休んで、英気を養う必要がありますね。」

「そうだね。だけど、オルステッド君もティファ君も強くなってきているし、少しは安心かな。」

そう、この村に来るまでにサンドウォーム以外にもサンドクラブ、デザートグリズリー、デススコーピオンに襲われて、その度に戦ってきたのだ。実戦経験は最早並みの騎士団員を軽く越えている。

「まあ…それでもあっさり蹴散らすフィリスや校長先生の様にはいかないですよ。」

「私はともかく、フィリス君は異常だね。」

「そうですか?」

「フィリスはモンスター慣れしすぎよ!」

その後も少しギャアギャア騒いで、宿屋の主人に怒られた4人は、久しぶりのベッドでゆっくり眠り、次の日また旅を再開した。

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