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魔弾転生  作者: 藤本敏之
第1章
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第18話

マティーナが集中して仕事をするとき、フィリス達はグラウンドに出て運動や魔法を自主トレーニングしている。その日も、フィリス達には見せられない書類があるらしく、カリナからどのような訓練をすればいいかを聞いて、3人でグラウンドにいた。すでに言われていた訓練は終わり、3人は代わりばんこで組み手を行っていた。

「はあ!」

テッドがフィリスに殴りかかるが、フィリスは上体を反らして躱す。続けざまに2、3撃とテッドが更に攻撃するが、フィリスに掠りもしない。

「くそっ!」

悪態ついてテッドが右上段回し蹴りを放つと、フィリスはしゃがんで躱して、地面に残っていた左足に足払いをかける。

「うわっ!」

左足を刈られてテッドがひっくり返り、受け身をとって立ち上がろうとすると、既にフィリスの右拳が顔の前にあった。

「勝負あり!」

それを見ていたティファが、フィリスの勝ちを告げる。フィリスが右手を開くと、テッドはその手を握って立ち上がる。

「参ったな、1発も当たらない…」

「テッド、体重移動が下手なんだよ。確実に相手に当てる、それが出来なくても2手3手続けて出さないと。」

「解ってはいるんだけどな。どうにも当たると思ってしまうんだよ。」

「まあまあ、良いじゃない。長年鍛えてきたフィリスに勝てると思わないわよ。気楽に構えて訓練しましょ。」

3人がわいわい訓練の内容を話し合っていると、昼の鐘が鳴った。

「よし、校長室へ行こうぜ。」

そういってテッドが先頭切って歩き出す。

「ただお腹が空いただけじゃない、もう…」

ティファがそう言うが、次の瞬間そのお腹も鳴った。

「ティファもじゃないか。」

フィリスに笑われて、赤面するティファだが、2人でテッドの後に続いて校長室へと向かう。


校長室に入ると、マティーナが書類に向かってうんうん唸っていた。

「校長先生、訓練終わりました!」

テッドがそう言うが、マティーナは気付いていないのかうんうん唸っている。

「マティーナ先生?」

今度はフィリスが名前を呼ぶが、頭を更に抱えてしまう。

「あっ、美味しいケーキが!」

「えっ、何処!?」

ティファが発した言葉に反応するマティーナ。甘い物好きなので反応したらしい。が、ケーキが無い、そして3人がいることに気付いて赤面する。

「あ…御免よ。気が付かなかった。」

直ぐに落ち着きを取り戻すが、ケーキが無いことに対して少しいじけた顔をした。そんな様子をみて、フィリスが声をかける。

「大方、今度の野外遠征訓練の組み分けに悩んでいるのでしょう?」

そう言われてギクッとなるマティーナ。

「何故それを!?」

「ここ最近、その話で学校中持ち切りですから。」

「そうなんだよ…実力を振り分けるのが大変で…」

そこまで言って、またうんうん唸り始める。

「私達を3つに分けてはどうですか?」

「へ?」

「フィリス、どういう事?」

「簡単な話、恐らく先生達の間で特別クラスの3人に何処へ向かわせるか、そしてその付き添いについて悩んでいるんでしょう?」

フィリスが淡々と言ってのける。

「初めての遠征訓練になるから余り危険じゃ無いところとか、そう言うことに悩んでいるのでしょう、マティーナ先生。ならば、私達3人を3つに分けて、成績不振の生徒達と組ませれば万事上手くいく。でもそれを私達が納得するのか、心配なんじゃ無いですか?」

フィリスがそう言うと、マティーナはコクリと頷いた。

「そうなんだよ。本当は君達3人まとめてそれなりの場所に行かせようとしたんだ。でも、私情で場所を決めるのはどうかって意見があってね。成績不振な子達にやる気を起こさせる為に君達を分割してみてはと言われて…」

「フィリス、なんで解ったんだ?」

「何となくだよ。」

「何となくで解るわけ無いよ!?」

テッドもティファも驚いていたが、マティーナがうんと決めたように頷いた。

「決めた!君達3人を分けることにするよ。」

「えぇ!?」

「そんな…校長先生!」

テッドとティファは嫌そうな顔をする。しかし、フィリスが3人を代表して話をした。

「では、成績不振者で組んで貰って構いませんので、こちらからも条件があります。」

「何でも良いよ、言ってみて。」

「私達3人の組みの行き場所は、なるべく遠くにして下さい。」

「それは何故?」

「近くにいると、2人が私を頼ろうとするでしょうから。遠征訓練の邪魔になります。私は私の組を何とかします。先生は自由で構いません。」

「解った、それで行こう!」

「ちょっ、マジかよ!?」

「道に迷ったら如何したらいいの!?」

「あのねぇ、それをなんとかするための訓練だよ?最初からフィリス君頼りだったの?」

そうマティーナに言われてしょんぼりするテッドとティファ。フィリスは、

「まあ、あと1週間あるし、それまでになんとかこの2人を鍛えますから。」

と言った。

「模範生になって貰わなきゃ困るよ?」

「解っています。1からサバイバル術を叩き込みます。」

「なら、今日の昼から訓練を取り止めて、叩き込んでよ。」

「解りました、マティーナ先生の言葉ですから、それに従います。」

フィリスはそう言った。不安なのはテッドとティファの2人。しかし昼食を食べた後、普段の授業以上に過酷なサバイバル訓練が続き、心が折れそうになった。が、なんとか耐えきり、遠征訓練の日になった。

読んで下さっている方々、有難うございます。

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