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魔弾転生  作者: 藤本敏之
第4章
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第120話

それから2時間後、漸く身支度も終えたとの事で、謁見の間に皆が集まる。メンバーはフィリス、四龍、マリアーナ、ミロ、ハクア、マティーナ、アサギ、マーティス、バーバラ、女の子10人、大臣、マーティスの近衛騎士3人である。

「さて…異世界からの皆さん、はじめまして。私がヴォルファー王国国王、マーティス・ヴォルファーだ。フィリスから聞いている、そなたらの世界に王政は殆ど無いと。だからあまり畏まらずに話をして貰って構わない。」

「第1王女、バーバラです。大変な目に逢われた皆さんを、我々は受け入れるつもりです。警戒されるのは仕方ありませんが、ゆっくりとなさってください。」

と、マーティスとバーバラが挨拶をする。と、女の子の1人が代表して話す。

「…ミユキ・カサハラです。其方の…マティーナさんからの提案で……話をスムーズにするため、みんなの代表として…お話をさせて頂きます…」

「ミユキさん、焦る必要も緊張もしないで下さい。リラックスして。普通に話してください。」

「はい。」

フィリスの言葉に皆安堵する。

「さて…皆さんはこの世界に来てどれくらいなのかな?」

「…正確には解りません。ただ…半年以上は…閉じ込められていた気がします…」

「酷いことをするわね!」

「…姉さん、気持ちは解るけど、今は話を聞く時間。」

エンレンもスイレンも気持ちを押さえきれない様子だ。

「…たまに食事を貰ったりはしていましたが…パンを皆で分けあったり…」

「普通の人間なら発狂してもおかしくないじゃない!」

「ライファ、落ち着きなさい!」

ライファ、ランファも憤慨するが、話を途中で止めてしまう事になってしまっている。

「…いつまでこんな生活が続くのか…元々30人以上はいた私達も…10人になって…グスッ。」

思わず涙を流すミユキ達。

「そして…後はご存じの通り…フィリスさん達に…助けて貰って…」

「うむ…ミユキさん、皆さん、大変だったな…」

「叔父上、発言しても宜しいですか?」

それまで黙っていたフィリスがマーティスに言う。マーティスは頷いて、発言を促す。

「ミユキさん、皆さん、閉じ込められていた人達は戦闘には向かない、利用価値は無いと言われたのですよね?」

「はい…私達は…特殊な能力がない無能だと言われて…」

「一緒に召喚された人に、別の人間やモンスターをを召喚出来る人、獣人化する人等、いましたか?」

「…はい、いました。面識は…ありませんでしたが…」

「…その人達はどうなりましたか?」

「…私が殺しました。敵対され、此方も危うかったので。」

「そうですか…」

そこまで聞いて、フィリスはバーバラの方を見る。

「バーバラ、今までの話を聞いて、君に質問をするよ。」

「はい、フィリス兄様。」

「現状、我々ヴォルファー王国が彼女達の為に出来そうな事を言ってみて。」

そう言われ、考え始めるバーバラ。

「フィリス様、まだ殆ど情報が無いのに、バーバラ殿にはまだ難しいのでは?」

「そうだよ、パパ。」

「わふぅ、私には難しくて解らないのです。」

マリアーナ、ミロ、ハクアが発言をするが、バーバラは真剣に考えている。

「フィリス兄様、間違っているかも知れませんが…」

「勿論、何が正しいかは解らないけどね。」

「…ミユキさん達が元の世界に帰る方法を模索する事…後、皆さんの身の安全の確保…そして、最悪の場合この世界で暮らすことになったとして、生活が出来る基盤を提供する…でしょうか。」

「流石、私と同意見だよ。これだけの情報で、そこまで考えられるようになった、これならいつでも女王になれる。」

「フィリス兄様…」

「ミユキ君、フィリス君達を信じてあげられるかい?」

「えっと…あの…話が見えないのですが…」

「ミユキ殿、フィリス殿達は貴女方に、元の世界へ戻る方法を考えるが、それが無理ならこの世界で暮らせる様にすると言っているのです。」

マティーナ、アサギの発言に、ミユキ達は驚いた。

「…どうして…私達のために…そこまでしてくれるんですか?」

そう言われて、フィリス達は笑った。

「ミユキさん、皆さん、フィリス様は元々この世界の人じゃないの。」

「…貴女達が転移者なら、フィリス様は転生者。」

「この世界の神、ファーリス様にこの世界に遣わされた…」

「言うなれば貴女方と似た境遇なのですわ。」

「この世界の事も、お主らの世界の事も、知識も妾達よりも理解なされておる。」

「そのパパが皆を守りたい、そう決めたんだよ。」

「わふぅ、私達はそれを信じるだけなのです。」

「間違いがあったら私達も止めるけど…」

「フィリス殿の考えは正しい、そう思うのです。」

「まあ、答えを出したのはバーバラだけどね。」

皆、口々にそう言う。その言葉にミユキ達は涙を流した。

「皆さんは大変な苦労をしてきた、これからこの国で暮らすとしたら、仕事はして貰うが、徐々に慣れていって貰えればいい。このヴォルファー王国も、フィリス達がいなければ、そなたらの様な被害者を出していたかも知れん。暫くは療養すると良い。」

マーティスが優しく笑いかけ、謁見は無事に終わった。

読んで下さっている方々、有り難う御座います。

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