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魔弾転生  作者: 藤本敏之
第4章
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第118話

地下にはフィリス、ミロ、マティーナだけで向かう。四龍とマリアーナには地上の敵の殲滅を頼んだ。カビ臭い地下の牢獄を見ると、ぼろ切れ着せられた女の子が10人、牢屋に閉じ込められていた。フィリスはその現状を数瞬見た後、魔道具である袋を取り出し、中から毛布を沢山出して、ミロとマティーナに渡し、女の子達に纏わせた。

「もう良いよ、フィリス君。」

マティーナに言われて、フィリスが見ると、何日も風呂にも入れて貰えなかったのだろう。凄まじい悪臭がしたので、フィリスはクリーンとキュア、リカバリーの魔法をかけてやる。

「さて…言葉は解るね?」

「は…はい…」

女の子の1人が答える。

「私達はこのバリロッサの隣国、ヴォルファー王国の者だ。君達は勇者召喚で召喚された人達で間違い無いかな?」

「はい…私達の能力は…戦闘に向かないと…ただ放置は出来ないと言われて…ここに閉じ込められました…」

「…酷い。」

「君達は…どうしたい?」

「え?」

「勇者召喚に関わったこの国の者達を殲滅する。しかし、君達に敵対の意思がないならば…私達に少し情報を提供してくれれば、ここよりマシな待遇をしてあげられる。どうかな?」

「…何を…?」

「魔神計画…この言葉に聞き覚えは?」

「あ…あります…」

別の女の子が答えた。

「私の友人の1人が…その計画の為の力があるって…連れていかれました…」

「場所までは…解りませんが…」

「そうか…おっと、御免よ。取り敢えずここから出よう。大丈夫、君達を閉じ込めていた者達は既にいない。」

そう伝えて、フィリスは皆を連れて外に出る。既に殆どのバリロッサの兵士は四龍が叩き潰し、マリアーナはその援護にまわっていた。

「フィリス様、その子達は?」

「…勇者召喚に巻き込まれた人達だ。連れて帰る。」

「…確かに。巻き込まれただけなら罪はない。」

「あっ、それと情報を聞き出しておきました!」

「何でもこの城の東に勇者召喚、魔神生産の場所があるそうですわ。」

「パパ、どうするの?」

「…マティーナ先生、ミロとマリアーナと共にここにいて、彼女達を看てあげてください。恐らく彼女達は疲弊してますから。。」

「…フィリス君?」

「完全に叩き潰し、私達も直ぐに戻ります。」

「解ったよ、無茶は…しないよね?」

「勿論です。あぁ、後…」

そう言うとフィリスはマリアーナに袋を渡す。

「マリアーナ、彼女達に食事をさせてあげて欲しい。」

「了解じゃ、フィリス様。」

フィリスは四龍と共に東へと向かう。


建物は直ぐに見つかり、フィリス達は中へと入る。そこには培養液に浸けられた沢山の人がいた。

「これは…」

「これが全部魔神…?」

「その通りだ、まだ完成はしていないがね。」

フィリス達が呆気に取られていると、奥から研究者のような者達が出てきた。

「勇者として召喚され、元研究員だった僕にとってはありがたい話さ。人体実験を好きなだけさせて貰えるなんてね。」

「お前は?」

「自己紹介しよう。僕はコウイチロウ・ドイ。ここにあるのは、僕の研究の成果さ!」

そう言って、指を鳴らす。すると、培養液の入った容器が割れて、魔神が外に出てくる。

「因みに、そいつらは召喚された勇者のなれの果てさ。まだ戦闘には使えるけど、弱かったからここに放り込んでいたんだ。まあ、本当に使えないのは城の地下に放り込まれているけどね。」

そこまで言うが早いか、フィリスはショットガン、スパスを召喚し、立て続けに7連射した。ズガンッズガンッとけたたましい音を立てて発砲された散弾は、出現した魔神、コウイチロウ及びその後ろの研究員をも撃ち殺した。

「阿呆くさい、貴様らの話など聞いてられるか。」

「フィリス様、どうしましょうか。」

「皆、外からこの建物に攻撃をして欲しい。」

「…仰せのままに。」

「こんな害悪、残しておく方が無理ですよね。」

「少し派手に参りましょう。」

フィリス達は中も詮索せず外に出て、四龍の魔法で完全に建物を破壊した。建物のあった所には…巨大なクレーターが出来ていた。勿論、フィリスは魔法障壁を張って、余剰エネルギーを防いでいたのは言わずもがなである。

読んで下さっている方々、有り難う御座います。

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