第113話
サラマンダー達を見送って、フィリスはマリアーナに言う。
「マリアーナ、障壁を解除して、私の後ろへ。アサギさんも少し休むんだ。」
「フィリス様?」
言われた通り障壁を解除すると、フィリスは両手にガトリングキャノンを召喚、左右にいるバリロッサ帝国の兵士目掛けて乱射する。ドルルルルッと凄まじい音と共に銃口から吐き出される弾丸の雨霰により、瞬く間に血飛沫をあげて元兵士の残骸が転がっていった。
「なっ!?なんだと言うのだ!?」
ジオルグが驚くが、フィリスは左右にいた兵士の駆逐をものの数分で終わらせると、マリアーナとアサギを連れて、正面のジオルグ達の陣地に歩いて向かう。不意打ちの対処、少し疲れているのでその回復が目的ではあったが、ジオルグの乗った台の下までやってくると、1人の屈強な男が、大剣を肩に担いで立っていた。
「まさかここまで来るとはな!まさか俺が出向くことになるとは!」
「…?」
「俺はジオルグ・バリロッサの息子、第1王子のジルトス・バリロッサ!いざ、正々堂々と…!」
そこまで言った瞬間、フィリスは右手に漆黒の銃を召喚し、3連射した。その弾丸を受けて、ジルトスは後ろに吹き飛んだ。
「今さら正々堂々?バカも休み休み言え。」
ジルトスは吹き飛んだが生きてはいた。フィリスが撃ち込んだ弾丸は3種類、サイレント、リジェネ、ヴェノムだ。その3発の事をジルトスは知らないので、いきなりのたうち回って苦しみだす。
「ぐっ!?げぇ!?」
「ジルトス、どうした!?」
そう叫ぶジオルグに目掛けて、フィリスは再び銃を構えて同じ弾丸を撃ち込む。すぐに苦しみだすジオルグを見て、回りにいた残りの兵士、大臣達は逃げ出した。烏合の衆をフィリスが逃がすはずもなく、台の上に乗り、バリロッサ帝国が攻めて来た方向を見ると、まとまって逃げていたので、フィリスは左手に魔力を込め、昔作ったアルティメットバレットを作り出し、烏合の衆の中心へと撃ち込んだ。元々反動が無い銃を使っているのだが、何故かこの弾丸だけは衝撃が凄まじい。昔は壁にめり込むほどの威力だったが、フィリスも成長している。吹き飛ぶこと無く撃ち込むことが出来た。フィリスの撃った弾丸は、丁度烏合の衆の中心を走っていた兵士に当たり、大爆発を引き起こした。途轍もない爆発は、もう少しでフィリスが乗っている台まで吹き飛ばす程だったが、出前70メートル程で止まった。衝撃破はマリアーナが気付いて障壁を張ってくれたので、無かった。
「さて…と。ジオルグ・バリロッサ、ジルトス・バリロッサ。貴様らには聞きたいこともあるから生かしてやる。ただし、その激痛に耐えながらだがな。」
そう言うとフィリスは2人を縛り付け、シンガ村へと向かい、勝鬨を挙げる。ヴォルファー王国が誇る騎士、兵士は歓声を挙げる。四龍、マリアーナ、アサギはフィリスの隣で笑っていた。
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