第100話
ようやく100話!
ミロに乗って30分程で、桜の集落の上空へと到着する。するとフィリスは、一番大きな家屋の庭に向かって飛び降りた。風魔法で着地をすると、庭に男達が6人出てきた。
「何者だ、貴様は!?」
男達の1人がそう叫ぶ。フィリスは周囲を見渡して、
「ゲンナイ・シラサワは何処だ!」
声を荒げて叫ぶ。と、奥の部屋から白髪の男が出てきた。
「何事だ?」
どうやらゲンナイのようで、フィリスは睨み付けた。
「…ミカヅチ王国国王、レイジ・ミカヅチの代わりに、貴様に用があってきた。」
「ふむ…茶でも飲むか?」
そう言ってくるゲンナイの誘いに、フィリスは少し考えながらも、部屋へと入る。直ぐに茶と茶菓子が運ばれてくる。
「まあ覚めないうちに。」
そう言って、ゲンナイは自分の茶を啜る。それを見て、フィリスは一口飲んだ。
「…ぐっ!」
直後猛烈な睡魔に襲われる。フィリスが茶を飲んだ直後、ゲンナイが笑いだす。
「ふん…バカな奴よ。さあて、今度はこいつを刺客として差し向けるか。」
そう言って、ゲンナイは立ち上がり、フィリスの髪を掴もうと手を伸ばす。が、フィリスはその腕を掴んだ。
「…成る程、中々に強力な催眠効果の薬だが…種さえ解っていれば対処は可能だな。」
「なっ!?」
「今のアサギさんには耐えられない…その上でミカヅチ王国を襲わせたのか…やり方が汚いな!」
フィリスはゲンナイの腕を握り潰す。
「ギャア…!」
間髪いれず、フィリスはゲンナイの頭を左手で掴み、サイキックをかけた。
「さて…貴様の目的はなんだ?洗いざらい話して貰おうか?」
するとゲンナイは自身の意思とは関係なく話し始める。
「…私の…目的は…国…王へと成り上がること…。その為に…異世界からの…転移…者と…手を組み…」
「…」
「そして…アサギに…子を産ませ…最強の…遺伝子を…!」
「どういうことだ?」
「アサギの母親…は最強の…侍だった。手篭めに…考えていたが…あの女は…誰とも…知らぬ男と…子を成した。最強の…血筋を…軍団に加えれば…我が国は…最強と…!」
そこまで話した所でサイキックが解けたのか、ゲンナイの目の焦点が合う。フィリスはその瞬間、ゲンナイの頭を燃やした。
「ぐぁあああ!」
そしてゲンナイの心臓に、コルトパイソンを当てて至近距離から発泡、ズドン!と凄まじい音がして、ゲンナイの部下が駆けつけるが、ゲンナイは即死していた。
「きっ、貴様!」
「…ゲンナイの企みを知っていたのは…どれくらいいる?」
フィリスが駆けつけた男達に質問する。
「…ふん、我々桜の集落の者は一致団結している。レイジ・ミカヅチはこの国を腐らせるだけだ!」
「…そうか。」
それを聞いた瞬間、フィリスは男達に向けてコルトパイソンを構え、1人1発ずつ弾丸を放った。それぞれ頭を撃ち抜かれ、絶命した。と、庭にミロが着地し、四龍、マリアーナが降りてくる。
「フィリス様、お言い付け通り上空から確認しておりました。」
「…マリアーナが障壁を張ったから、誰一人としてこの集落から出ることは出来ない。」
「あれがゲンナイの死体かしら?」
「フィリス様と意識を同調しておりましたので、話は聞いておりましたわ。」
「うむ、転移者とやらを探しだす必要があるようじゃ。」
皆が話終えた時、2つ隣の部屋から女が1人出てきた。
「やれやれ、五月蝿いわね。」
「…貴女が転移者?」
スイレンが女に質問する。
「えぇ、そうよ。私はミサキ・ハナサキ。宜しくね。」
「宜しくしたくありませんわ。」
ランファが反論する。
「まあそう言わないでよ。面白いものを見せてあげるから♪」
ミサキはそう言うと、右手を上げる。すると、庭の土の中から大量のスケルトンが、上空にはガーゴイルが出現する。
「さぁて、この軍勢に勝てるかしら?まあ私達の企みを知ったところで、帰れない訳だけど♪」
「召喚術…まさかヒュドラも…!?」
「えぇ、私の召喚したモンスターよ!」
そう言って、ミサキが右手をフィリス達に向けると、スケルトン達が襲い掛かってきた。フィリス達は直ぐにミロに乗り、上空へと飛ぶ。と、フィリスは両腕にガトリングキャノンを召喚し、ガーゴイルに向かって乱射する。四龍はそれぞれの魔法をスケルトンに発動する。一瞬でミサキが召喚したモンスターは消滅した。
「へぇ…やるじゃない。でも、これならどうかしら♪」
ミサキは庭に出て詠唱し、空に向かって叫んだ。
「来なさい、オロチ!」
ミサキの言葉に答えるかのように、ミサキの足元から八つの首の竜が現れる。
「あれは…!」
フィリスが驚いた声を出す。
「見たこと無い蛇ね?」
「…フィリス様、知ってるのですか?」
エンレンが思ったことを発言すると、スイレンはフィリスに尋ねる。
「8つの首…ヤマタノオロチか!?」
「ヤマタノ…オロチ?」
「聞いたことありませんわ。」
「ふむ…じゃが妾達の敵には代わらぬ。」
ライファ、ランファ、マリアーナも驚いたが、フィリスは焦っていた。
「私の元いた世界の…伝説の化け物だ。」
「パパ、戦うの?」
ミロが不安そうに質問するが、フィリスは答えられない。
「あははは、どうかしら?この子に勝てるかしらぁ?」
そう叫ぶミサキ。と、ヤマタノオロチの1つの首がミサキに近付き、ミサキを丸飲みにした。
「あれは…人の手におえるものじゃない…でも…やらないと…世界が滅ぶ!皆、力を貸して!」
「解りました!」
「…大丈夫。」
「誇り高き四龍である私達は…」
「誰にも負けませんわ!」
「妾もおるでな!」
マリアーナは集落の障壁を解除し、ミロの周囲に障壁を張った。そして、フィリス達とヤマタノオロチの戦いが始まった。
読んで下さっている方々、有り難う御座います。




