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魔弾転生  作者: 藤本敏之
第1章
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第9話

テッドとティファも加えての訓練も2週間が過ぎたある日、フィリスは1人で部屋にいた。外は雨が降っているし、学校も休み。学んだことの復習も終わって、のんびりしようと考えていた。勿論、一般の考えているのんびりではなく、フィリスは銃を召喚しては消し、出しては消したりしていた。これまで、人前でまともに使ってこなかった銃。理由は自身の切り札なので多人数の前で使うことをしなかったのと、もう一つ理由があった。イメージが確定しているデザートイーグル、コルトパイソンに関しては問題ないのだが、他の銃のイメージが確定していなかった。

「うーん…やはり自衛隊時代に使っていた、小銃を使うべきなのか?使いやすかったし…」

約30年使っていた小銃のことを思い出しているフィリスだが、憧れている武器はちょっと違う事に気が付いていた。実際には、日本の銃より外国の銃の方が好きだった。だからこそ、デザートイーグルやコルトパイソンは比較的楽に召喚が出来ている。もっとも、反動無し、弾数はほぼ無限と言える、化け物スペックだが…

「まあいいや。別に形にこだわる必要もないし、使いやすいのを召喚すればいい。デザートイーグルとコルトパイソンは、テレビで見たことがあったし、格好いいと思っていたから、召喚出来て良かった。」

なんとも不純な動機であるが、齢80にもなって、銃に憧れていたなどと、誰にも知られたくもないだろう。そんなことを考えながら、デザートイーグルとコルトパイソンをそれぞれ右手と左手に出し、くるくる回転させる。と、自室の扉が叩かれた。

「兄さん、コールです。御飯の時間ですよ。」

「有難う、コール。直ぐに行くよ。」

呼ばれたので銃を消して部屋を出る。どうやら来ていたのはコールだけではなく、ネーナもだったようだ。

「フィリス兄さん、なにをなさっていたのですか?」

「魔法の研究…かな?ちょっと複雑な…ね。」

ネーナの質問に曖昧に答え、3人で食堂へと向かった。


次の日、校長室で勉強のためいそいそと校長室へ向かうと、マティーナが机に突っ伏して眠っている。

「…マティーナ先生?」

フィリスが声をかけると、

「うぅーん…もうちょっとだけぇ…」

寝ぼけているのか、ムニャムニャ言いながらまだ眠らせて欲しいと言う。しかし、フィリスが困惑していると、カリナが入って来た。カリナはフィリスに静かにとジェスチャーで伝え、寝ているマティーナに近付き、耳元でボソボソと呟いた。すると、急にマティーナがガバッと起き上がった。

起き上がると同時に、いきなりマティーナが、

「私のケーキ、何処!?」

と、叫んだ。どうやらいい夢でも見ていたのだろう。涎を垂らしながら、寝ぼけ眼をキョロキョロして、ようやく夢を見ていたと気付き、フィリスがいることを認識すると、

「キ、キャー!」

と叫んで部屋から飛び出していった。

「カリナさん、 何を言ったんですか?」

「フフフ、内緒です。さて、勉強しましょうか。」

カリナは気にもせずに授業の準備を進めた。


昼休憩になると、フィリスは学校の中庭のベンチで昼食をいつも取っている。広くて風通しがいい中庭には、よく手入れされた芝生が生えており、生徒達はこぞって食事をしたり、寝転がったりしている。フィリスが座っているベンチには、誰も近付こうとしない。実はフィリスは気配を殺しながら殺気を出すという、一見矛盾している芸当をやってのけていた。あのベンチは何かある、そう思わせながら本人はいないようにする、器用な芸当だが中々ハードな事らしく、フィリスもゆっくりと食事をしていた。フィリスがお弁当を食べ終わってひと息つくと、不意に声が響いてきた。

「こほん、皆さん済みません、校長のマティーナ・ティルです。フィリス・ハーヴィ君、直ぐに校長室迄来て下さい。以上です。」

どうやら拡声器を使ったらしく、中庭の生徒達はまたか…と思って聞いていたが、誰もそれ以上不思議がることはなく、思い思いの休憩を取っていた。フィリスは腰を上げ、校長室へと向かう。校長室ではマティーナが1人、待っていた。

「ご免ね、フィリス君。休憩中に。」

「いえ…何かありましたか?」

「うん。大事なことだから、早く伝えたかったんだ。今日の昼から魔法の授業を始めるよ。」

それを聞いて、フィリスはやっとか…と思っていた。

「あれ?もっと嬉しそうな顔をしても良いんだよ?」

「待ちくたびれていました。ずっと一般の勉強ばかりで…」

「うん、それはご免なさい。どうしても必要な事を詰め込むと、もっと吸収するんじゃないかって期待しちゃってね。学校には必要ない知識まで君に教えたんだよ。」

「確かに他国との情勢は、今の私には必要ありませんでしたね。物流とか。」

「エヘヘ、でも君の知識は最早大臣クラスでも知り得ていない事まで詰まっているよ。だからこそ、昼から私が直々に魔法を教えるよ。…覚悟はいい?」

「勿論です。ガデル王国最高の魔法使いの実力、見せて頂きます。」

「…まあ、余り過度な期待は止めておくれよ?緊張には私は弱いんだから。」

そう言って笑うマティーナを見て、フィリスも笑った。

ちょい短めで済みません。読んで下さっている方々、有難う御座います。

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