エマの目覚め
第2章 目覚め
「絶対に助ける!」
謎の少女はそう呟きながら、人間に見つから無いように裏道を使いながら走っていた。
エマはまだ気絶していて起きる気配はなかった。
「ご、ごめんなさい 、ほんとにごめんなさい」
エマは度々そう謝っていた、エマを助けた少女は心配そうな眼差しで見つめたが、頭を振り走り出した。
いくらか走り少女は上を見上げた、そこには自分達が先程まで暮らしていた街ではないような姿だった、家は燃やされ、仲間は殺され、街の象徴の銅像は折られ無残な姿になっていた。
少女は人間を信じていた、少女以外の仲間達も皆、この街の全員が人間を信じているのだ。
だから、反撃はせず話し合いを求めた……
だが、人間はそれを拒絶した…そして攻撃は更に勢いを増した、最初街を襲った人間の数は100にも満たなかったが、どんどん人数が増えていき今では3000もの人間が街を襲っている。
人間は逃げて行く街の人や魔女を追いかけ殺した、街の中はほとんど人は居なくなった……
1部の魔女は逃げる事に成功し、建物の中などに隠れた。
街は人間が現れてから3刻が過ぎた頃には1面焼け野原になっていた、それでも人間は魔女を、街の生き残りを探した。
1部の人間は死んだ魔女をバラバラにしたり、首を見せ物したりする者もいた。
他の者は生き残りを探す為に建物を壊す者まで現れた。
そして、謎の女の子が通っていた道まで見つかってしまう。
「おい! こっちに抜け道があるぞ! ここから逃げた奴が居るはずだ探すぞ!」
この時、謎の女の子は抜け道が見つかった事に気づいて居なかった……
「はぁ、はぁ…急がないと! 」
謎の女の子は後ろから迫り来る足音に気づいた、
1度立ち止まり足音の数から人数を考える……
「5、6人かな……どうしてこの道が…それより、この子守れるかな? そもそも、人間には危害を加えたらいけないし……どうしたら……」
女の子が考えている間にも人間達はどんどん近づいて来ている…
女の子は壁を見上げ登れないかと確認したが、1人ならともかく、更に1人抱えて登るとなると無理があった……
そこで、女の子は走り出した、少しでも距離を離す為に。
「んッ……ッ ……」
ここはどこだろう…どうして意識があるのだろうか、私は死んでいない?
少し揺れてるし、動いている? 誰かに担がれているのかもしれない。
けど、誰が? ルルちゃんかな? でも、ルルちゃんは私を見捨てたよね……なら、誰?
それと、体は動かないけど、傷は少しだけ良くなってるのかな? 痛みがほとんどない……
「気がついたの!? 体は大丈夫?」
どこかからか、声が聞こえる…聞いた事ない声だけど、どこか懐かしくて、落ち着く声だな……
なんて、言ってたのかな? 返事しないと……
「………………」
あれ? 声出てるかな?
「………………」
やっぱり出てない……疲れてるからかな? どうにかして反応しないと、さっきの声は私の事を気にかけていたんだと思うし…
けど、どうやって……?
どうしよう…眠くなって来ちゃったな……
このまま、寝ちゃおうかな……さっきのはきっと私の幻聴だよね、だって、あの時あんなに怪我しちゃって、血もいっぱい出て、友達や他の人にも見捨てられて……
「あれ? 起きてない!? 」
!?
今度はハッキリ聞こえた、女の子の声だ。
確かに私に話しかけてる…は、反応しないと。
声はほとんど出ないし……
体は……動かない…でも、力を入れる事は出来る…! それなら……
「ん…!」
エマは少し後ろに傾いた時、体に力を入れた、そのおかげで体後ろに傾いた、そのまま体はどんどん後ろに傾いて行き、地面に落ちてしまった。
「どうして勝手に落ちたの!? やっぱり起きてる? それより、急がないと! 」
謎の女の子は再び抱えようとするが、体に力を込めて拒んだ。
私が起きてる事を教える為に落ちたのはいいけど、それより、喋れないなら起きてる事を教えようがないじゃない。
この子にどうやって伝えよう……
「起きてるよね!? 返事して?」
私を助けてくれたこの子に伝えなきゃ、声が出ない事を。
どうにか、体を動かさないと…
「お願い! どうして答えてくれないの!?」
お願い、気づいて…私声が出ないし、体も動かないの……
エマは全身に力を込め、気づいて貰おうと必死に声をだそうとしたり、体を動かそうとしたした、だが、その努力も虚しく、気づいて貰えなかった。
「もしかして……ブファル・ヒール!急いで…早く!」
謎の女の子はそう唱えると、エマの体がうずき出した……
「やっぱり、この魔法が効くなら…気づかなくてごめんね……」
「うわぁぁぁ! 」
エマは突如叫び声を上げながら、転がりだした……
「だ、大丈夫!? ッ!?」
謎の女の子は険しい顔で後ろを振り返った、
少しした後、6人の人間がやって来た。
1人は歳は30程の大柄の男、もう1人は10代の細マッチョの男、もう1人は60程のよぼよぼのおじさん、もう1人は10代後半の女の子、もう2人は7、8歳の男と女の子だった。
「どうしよう……こんなに早く……」
「お前魔女だよな?」
大柄の男が手の平に攻撃魔法を準備しながら女の子に聞いた。




