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ジッ
〝静かに〟
会話を遮るようにしてルナが喋った
〝2F、PCのある部屋に到着。おそらくここが研究所全体の電気系統を束ねる管理室ね。
これより、回線修復の作業に入る〟
〝〝了解〟〟
俺以外の全員がルナの連絡に返答する
それから数秒して、俺は次の配置を連絡した
〝了解。じゃあ俺とマルは2Fエレベーターホールで合流後、ルナのサポートに入る。ユメとクロさんは引き続き研究所内の調査を進めてくれ〟
〝〝了解〟〟
全員が再び次の目標に向けて行動を開始する
〝それにしても……確かに変だね〟
そう、変だ。
ユメが感じている違和感は、多分俺が抱える不安感と似ている。
〝どういうことだ、ユメ〟
クロさんが珍しく慌てた声で聞き返した
〝だって、おかしいでしょ。この研究所との連絡が取れなくなって、私達に調査の指令が下されるまで2日。私達がここに着いたのがそれから1日〟
つまり、この研究所に何らかの異変が起きてから3日後、俺達が調査に来た
〝こんな短期間で、ここまで綺麗に人だけが消えるなんてこと、考えられる?〟
まさにユメの言う通りだった。
何か不測の事態が起き、外部との連絡が取れなくなるほどの状態に陥ったのならば、逃げ出した人や命を落とした人がいることも考えられる。
だが、生存者はおろか、人の居た痕跡だけを生々しく残し、人影だけがこの研究所から消えてしまったような印象を受けた
まだ調べ尽くしていない現段階では判断材料が少なすぎるが、明らかに違和感がある
そんな違和感が、俺の中の妙な不安感に繋がっているんだろうか……
〝如月博士の件と何か関係があるのかも…〟
ユメはボソッとそう付け足した。
それを聞いた全員が意味を理解し、緊張の糸は更に強く張り詰めた
ガタッ
「あっ…」
考え浸っていた俺は足元のガラス瓶に気づかず、思わず音を出してしまった
その瞬間、前方に何か気配を感じ
俺は咄嗟に銃を構え、引き金に指をかけた