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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

大大大大大大好き!!!

作者: 東田 智久

 俺が目を覚ますと全身が椅子に縛られていて、辺りは真っ暗闇だった。ここがどこかを確認しようにも全身が縛り付けられているので頭以外はほとんど動かない。状況が分からずもがいているとどこからか足音が聞こえてきた。

 その音は段々と大きくなり俺の目の前で止まった。まだ目が慣れていなくて顔がはっきりと見えないが、辛うじて見えるスカートから目の前にいるのが女子ということは分かった。

 俺が助けを求めるために口を開こうとしたらそれより早く相手が俺に「おはよう」と話しかけてきた。朝の登校で会ったかのようにに挨拶をされ思わず俺もおはようと返してしまった。

 けれどその後にはちゃんと言葉を繋げ、なぜ縛られているのかを相手に尋ねた。するとこれまたなんでもない感じで「好きだから」と返されてしまった。

 あまりのアッサリとした回答に俺の頭は理解しきれなかった。俺が好きだからと俺を縛っていることがどう考えても繋がらない。

 俺がどうにかして理解していると彼女は俺の手助けをするように言った。

「あなたが好きだから私と付き合ってほしい、けど知ってる。あなたは私を好きじゃないこと。だから私を好きになるように監禁した」と。

 その言葉とようやく暗闇に慣れてきた目で見えた彼女の顔でようやく相手が分かった。

 彼女は俺の隣の席の女子でごくたまに話す程度の仲だ。決して親しい訳ではなく、ましてや俺が好きなど初耳だ。

 俺が彼女にどこが好きかを聞くと優しく微笑んで言った。

「君が私に優しくしてくれるから。君は私に教科書を3回も貸してくれたよ。それにノートも7回貸してくれた。消しゴムなんて12回も拾ってくれた。こんな優しい人初めてなの。だから、好きになっちゃった」と。

 彼女の言葉を聞く度に背筋に冷や汗が伝わった。はっきり言って気持ちが悪い。

 しかし、彼女は俺の表情をみてうまく伝わっていないと判断したらしくぐっと近づき俺の右手の拘束を解いた。そして俺の右手を持って彼女自身の胸へと押し付けた。

 気持ちが悪いとはいえ女子の胸に触れてしまったことで慌てる俺をよそに彼女は「ねえ、こんなにドキドキしてるんだよ?」と囁いた

 俺は一刻も早く手を離して欲しかったので分かった分かったと叫ぶと彼女はまた優しい微笑みになり俺の手を離してくれた。

 彼女は嬉しそうに俺に抱きつくと「死んでも一緒にいようね」と俺の耳元で囁いた。




 彼女との生活は思いの外悪くなかった。

 拘束は早々に外され、俺のしたいことは何でもかなえてくれた。俺が映画を見たいって言うとそのDVDをレンタルしてきてくれるし、食べたいモノを言えば作ってくれた。母さんのハンバーグが食べたいといったときなんか一生懸命味を寄せようと作ってくれた。

 それでも味は酷いものだったが頑張ってくれた彼女のために全部食べた。

 しかし、やはり監禁されているのは苦行だったし、親や友達が心配してるだろう。

家 に帰って親に連絡してこよう。ちょうど彼女もいないし少しなら大丈夫かなと開けてはいけないといわれてた部屋のドアを開けた。

 部屋の先には長い廊下があるが、暗くて先がよく見えなかった。彼女に見つかっては困るので電気は付けずに薄暗いまま先へ進んでいった。

 ゆっくりとその廊下を進んでいるとこつんと何かが足に当たった。なんだろと足に当たった物を持ち上げると頭蓋骨だった。

「ねえ」

 頭蓋骨と目があって怯えている俺の後ろから彼女の声がして恐怖で頭蓋骨を落とし、しりもちをついてしまった。

「ねえ、どこに行くの? ドアは開けないでって言ったよね。ねえ、どうしてそんなに怯えているの?」

 何か言おうとするも恐怖でのどから言葉が出てこなかった。

「私を置いてどこかに行っちゃうなんて酷いよ。どうしてそんな酷いことをするの? あ、その足がいけないのね。悪いのはこっちの足かな? それともそっちの足かな?」

 どこからか持ち出した刃物を俺の足を舐めるかのように滑らせた。

 やめろ、と恐怖に駆られながら叫ぶがその声は彼女には全く届いていない。

「大丈夫。痛いのは最初だけだから」

 震える俺の右足に彼女は笑顔でナイフを突き刺した。


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