好きは心に二度抱く。
それはつまり、突然現れたもので。 あなたから受け取ったものを、私なりに組み立てたら自然と生まれたもので。自分で作って名付けたのに、気づくのは少し遅くて。
あなたが好きだ。
恋の始まり、あなたと私の関係が短い言葉で大きく変わったんだ。
好きって二文字、数秒で表せるそれに天井知らずに想いが詰め込まれていく。
朝、眠そうなあなたの「おはよう」で。 授業中、少し離れたあなたの横顔を見て。ふとした時に、目があった時。たったそれだけで、鮮やかに色付く気持ち。
想うほど、色付くほど。叶わない恋に涙は現れる。私があなたに恋をしたように、あなたも誰かに恋をしている。口には出さなくても分かるよ。あなたも誰かに、色鮮やかな好きをもらっているんだって。
「おはよう」も、ふとした時に目が合うことも。深い意味はないんだって。それで私が泣いてても、あなたは気にしなくていいんだよ?
この気持ちは私が勝手に作ったものだから。嬉しくなったり、悲しくなったり。それは私の、ただのわがまま。
うまくいかなければいい。あなたがフられて、私の気持ちを受け止めてくれればいい。そうすれば…… なんて、駄目だと分かってても考えてしまう。 それで全て上手くいくなんて、都合がいい。あなたの好きが砕けたから、代わりに私の気持ちを受け入れて? それはやっぱり、願っちゃいけない願い事だ。
きっと、私はね。誰かに恋してるあなたを、好きになったんだと思う。まっすぐに、好きな人を見ているあなたがどうしようもなく好きだから。
だからね…… あなたに伝えようと思う。私が好きだってことを。伝えたら、びっくりするよね? なるべく隠すようにしていたから。
私をフっても、気にしないでね。謝ったり、しないでね? あなたがくれたものだけど、それをどうするか決めたのは私なんだから。
「あの…… 」
優しくしないでね? 諦められなくなるから。
「ん? なに?」
でも、ちょっとだけ優しくしてね? 多分、泣いちゃうから。
「私…… 」
それと、とっても身勝手なんだけど。
「うん」
この『好き』が砕けても、また拾い集めていいかな?
「…… 好きです!」
だってきっと。砕けても、あなたのことは好きだから。 他の誰かなんて、すぐには見つけられない。辛いと思うけど、前に進めるその日まで。
もう一度、あなたを好きになってもいいですか?
終