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3、神☆降臨

エレナを通してきた女神の答えは「ごめーん(略)」。


その返事を聞き、異世界の女神に殺意を抱く元勇者である次郎。

その次郎の様子を見たエレナは、何故か慌てて止めにかかった。


「ま、待って、ジロー!違うの、神様は神様でもミハナ様じゃないのよ」


次郎はエレナの発言に疑問を浮かべる。

神様は神様でも神様(ミハナ)じゃない?

なぞなぞか?


次郎達3人は詳しく聞く為、エレナの方を向いた。

エレナはコホンと咳をつき、説明を始めた。


「えぇとね。神様とは繋がったんだけど、その方が異世界の神様でね」


「ん?だったら、それはミハナ様って事じゃねえのか?」


「あ、ごめんなさい。紛らわしかったわね。つまりは、私達にとっての異世界の神様だということよ」


私達にとって?…………あぁ、なるほどな。

エレナ達から見れば【地球】は異世界ってわけだ。

という事は、エレナが指す神様って、地球の神様ってことか。


「…………って、地球にも神様いるのか!?」


「ジロー、何を驚いている?以前にジローの世界でも宗教があると言っていたではないか」


ジローの驚きの反応に、リリーは何を言っているのだと心底おかしそうにしていた。


確かに、神様とやらが異世界に存在したんだ。

そう思うと、別段、地球にいても不思議な話ではない。


ジローが1人で納得していると、エレナが話を再開した。


「話を戻すわね。話した所、セーラちゃんの推測通りジローの送還魔法に巻き込まれたそうなの。それで、こんなことが起きちゃった訳は………………」


「………エレナ?どうかしたのか」


突如、説明をしていたエレナが俯いて静かになった。

その事に疑問を思ったリリーが声をかけると、


「やあ、はじめまして!異世界漂流者の諸君!」


エレナは顔を上げ、まるで別人の様に喋った。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「はぁっ!?神様だぁ?舐めてんのか、ワレ!おいコラァ!」


「いやいやいや!!本当だって。だから、殺気むけるの止めて!あと何でヤンキー口調!?」


メンチをきる次郎に慌てふためくエレナ(?)。

他の二人、リリーにセーラも黙ってはいるが、いつでも動けるよう警戒している。


「だ、か、ら!俺はイザナギで、いわゆる地球の神様代表の1人だって言ってんだろ!」


突然、豹変したエレナ。

話によると、どうやら今喋っている奴、イザナギとやらがエレナを乗り移ったようだ。


「イザナギって言えば、古事記にも載ってる……」


「ジロー、イザナギ様とはどのような神様なのだ?」


気になったリリーが次郎に聞く。

次郎はその質問に軽く説明した。


「ああ、簡単に説明すると…………奥さんとの簡単な約束すら守れず、キレた奥さんに桃を投げつけて必死に逃げて、奥さんが来ないように閉じ込めた神様だ」


「おいっ!言い方、言い方ってものがあるだろ!それだけだと俺、最低な奴だから!」


「そうだな。確か………奥さん閉じ込めた後、一日の目標として千五百人の子供を産むぞと毎日ハッスルしてる人」


「チゲーよ!?何その悪意に満ち溢れた答え!」


「でも、本当だろ」


「所々、確かにそうだけど!」


イザナギが俺の肩を揺さぶりながら、必死に弁明しようとした。

俺の説明のかいあってか、イザナギに向けるリリーとセーラの警戒が薄れた。その代わりにその視線に軽蔑が増えたが。


(因みに実話である)


いたたまれなくなったイザナギは次郎の肩から手を離しコホンと咳払いをし、話し始めた。


「とりあえず落ち着いた所で、今回の事について説明しようか」


「うわ、話を変えてさらっと流そうとしてるぞ。あの神」


「…………わざとらしい」


「おい、ジロー。本当に神様なのかコレは」


「君たち!そこはそっと触れずに俺に合わせてくれないかな!お願いだから!」


そんな事を叫ぶイザナギ。

しかし、この神。今はエレナの体に取り憑いてる訳で、さっきから違和感が半端ない。

例えるとマンガで想像してたキャラの声とアニメ化した時のキャラの声が違っていた、みたいな。逆に分かりにくいか。


もう少しからかいたいが話が進まない為、俺達は静かにし話の続きを待った。


イザナギは「はぁぁぁ」とため息を吐きながらも、今度こそ話を再開した。


「君達が巻き込まれた訳は、どうやら帰還用の入り口が大きくなり過ぎたみたいだ」


「みたいって曖昧だなぁ」


「確信が持てないのは、この説が一番有力であるだけで、もしかしたら他に要因が有るかもしれないからだよ。話を続けるぞ。異世界移動は各々の世界の神で役割を分担するんだ。帰還用の魔法陣はあっちの世界の神であるハナミ。その魔法陣に魔力を注ぐのが俺の役目。そして…………」


イザナギは一端そこで話を区切ると、俺に真顔を向け、


「で、仮説だが。俺の注ぎ込む魔力の分量を間違えて、大きくなってしまったと思われる」


原因を語った。

暫し無表情で静かになる俺達。

その沈黙に耐えられなかったのか、イザナギが口を開いた。


「ドジっちゃった♪テヘペロ☆」


「…………リリー。そこの棚にフォークがあったはずだ。取って来てくれないか」


「待って!?そのフォークを何に使うつもりかな?!!落ち着いて!」


「…………拷問初体験。わくわく」


「こっちのチミッ子に至っては隠す気なんて更々ねーしよ!ってか、何で楽しそうなんだ?!拷問初体験て言葉、初めて聞いたよ俺!」


勿論、次郎達の言葉は冗談だ。

しかし、それはイザナギの体はエレナの体であるからであって、イザナギの本体がいた場合は…………冗談で済んだかは分からない。


とりあえずこのくらいで許してやるかと思い、次郎は話を切り出した。


「じゃあ、さっさとエレナの体から出て、リリー達を帰してやれ」


それで万事解決、一件落着だ。


ー----ああ、しかし、事はそう簡単には終わらなかった。


「それなんだが………………その3人を送り返すの無理なんだよ」


今度こそ俺は、その言葉に固まってしまった。


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