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夏生詩集

作者: 夏生

早く寝ればよかったと

早く起きればよかったと

毎朝決まって後悔、口にしながら


遅刻は許されない大罪

絶対に犯すべからず

頭のサイレン、もはや脅迫じみて


雨の日も風の日も、

熱があろうと、吐こうと、

休めないのは百も承知


やめてやる!やめてどうする?

毎日の堂々巡り

がんばるぞ!と意気込んだ日を

いつの間にか、手をかざして見ていた


これだから、ゆとりは…

なんて、誰にも言われたくなくて

必死になって生きてきた

打倒!十把一絡げ


必死になればなるほど

空回りしてこんがらがって

大きくこけた

顔面からぶち当たった


引きこもるには遅すぎて

ストライキできるほど仲間はおらず

いっそのこと、とホームを見つめていたら

一羽の鳩と目が合った


鳩は首を傾げながら、こちらに近づいてきた

場所を変えてもついてきて

脅かしても飛んで行かない

足元に来て、つま先をつつく


まさか、天の使いなんて言わないよな

アニメで見たことはあるけど

面白くなかった

嘘くさいんだよ、現実は甘くないって

野生の鳩ならわかるだろ?

お前たちだって、止まり木に

ぶっとい針をつけられたじゃないか

俺だって……同じようなものなんだ


心の中で鳩に話かける

鳩はつま先と俺を顔を交互に見てから

だから、何?私はへちゃっらだけど

と首をかしげた

でも、俺は……俺は


ふと顔を上げると、何人かの視線が鳩に集まっていた

鳩は逃げない

人ごみに押されても、踏まれそうになっても

俺から離れない


わかった、わかったよ

こみあげてくるものを唇をかみながら

堪えた


電車がホームに着くと、鳩は飛んでいった

低く低く飛んでいって、制服姿の女の子の足もとに止まった


















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