スダ・セイシロウ
読書感想文 1年2組 須田清四郎
ミツキにはめられた。昼日中に公園に呼ばれたのでオレのこと嫌っていたからなぐりかかってくるのか、と思って用心して行ったのだがそうではなくオレは本を一冊受け取った。
ある意味、これは殴られたよりひどい。
オレはどんどん仕事をする。ヤツらのようになりたくない。学校から一斉送信があったばかりだし。
『一年生の中で、夜中に出歩いて家に戻らない生徒が数名います。心当たりの方、見かけた方は至急学校か警察に連絡してください』
その時には誰のことか分からず、lineで聞いて少しは情報を仕入れた、でもまさかミツキまでそれに入っていたなんて。
そして、本を読んでしまった後にはそいつら全てが誰かも判ったし、どこにいるのかも。
オレはヤツらみたいになりたくない。感想の残りは1/3くらいなのでどうにかできるかも。
旅人には勇気よりも、悪意しか感じられない。
昏い森を歩くこと、更に暗い山小屋に入ったこと、そこで暖炉に火をつけて一晩泊まろうと思ったこと、そしてランプまでつけてしまい、そのまま椅子で寝てしまえばよかったのに、夢うつつの中で気味の悪い女がじっと彼の方を見ていた、ということ。
見ていた方が悪い、と言えそうだが、オレはだんぜん、旅人が悪いと思う。
なぜなら、その女は絵の中の人物だったから。よく絵の人物が前の人間をじっと見つめる、という話があるがあれは嘘ではないらしい。たいがいの人物像は黒目がまん中に描かれていて、そうすると前の人間がどちらに動いても視線がついてくるように見えるのです、と美術のミツイが言ってた。
だが、旅人はその視線で目が覚めてしまったのだ。そして、頭の中に声を聴く。
「地下室に行け」
と。旅人はその時「ぞっと身を震わせた」と書いてあったが、実際
恐怖ではなく、悦びで身を震わせたのではあるまいか。
ログハウスに地下室があるなんて変だと思わなかったのか。旅人は明らかにどうかしている。行くにしても夜明けを待てば良かったのだ。
地下へ続く階段は長く、もちろん明かり一つなくじっとりと湿っていた。彼はランプ1つでおそるおそる降りて行く。
地下室はがらんとしていて狭く、まん中に粗末なテーブルが1つ。そして本が一冊乗っていた……この本が。
彼は頁を開いた。そして物語を読んだ。最後まで読んで、何も書くものがなかったので本を上に持って行っ