表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジミ’s×8~8人の幼馴染と同居することになりました~  作者: MIDONA
八章〜それは、幼馴染で、家族で、大切な人だからだ!
32/39

「皆様、次は右へ」

「わかった」

 守は一番後ろを走りながら、先導する芽衣の指示に返事をした。

 裏道のせいか、人影は一切見えない。

 だが、そんなことを気にしている場合ではないので、芽衣の指示に従い曲がり角を曲がる。

 曲がった後で杏子の足元がふらつきだした。正直、無理もないと思う。不謹慎だとは思うが、人間ってこんなに走れるんだな、と守が感動してしまったほどのペースでここまできているのだ。

 涼子のほうを見ると、杏子ほどではないながらも足元が不安定になりかけていた。

 これがマラソンか何かなら休憩することを提案するのだが、すぐ後ろに黒服の集団が迫っているので、とてもそんなことをしている余裕は無かった。

 今にも力尽きそうな杏子を視界に置きながら、芽衣の指示に従って次の曲がり角を曲がる。

 ついにそこで、曲がるときに杏子が足を縺れさて転んでしまった。

「杏子ちゃん!」

 守はすぐさま杏子の元へ駆け寄る。

 守から見る限り、上手く転んだようなので怪我をしている様子は無かった。しかし体力的にこれ以上走るのは厳しそうなので、守か芽衣が背負っていくしかなさそうだ。

「ごめんね、おにーちゃん……」

 息を切らせながらも、両手をついて杏子が立ち上がる。

 杏子を背負うために腰を落とそうとしたところで、前方から通った声が聞こえた。

「守様、後ろ!」

「へ?」

 芽衣の声に従い後ろを見ると、追いついてきた黒服の大男が自分に飛び掛ってくるのが見えて――視界から吹っ飛んだ。

 トン、という着地音が隣でしたのでそちらを見ると、攻撃態勢に入っている芽衣がいた。

「芽衣、すまない」

 守が礼を述べると、芽衣は笑顔でうなずいた後、真剣な顔になって口を開いた。

「守様、ここはわたくしが引き受けます。わたくしが足止めしている間に、杏子様を背負って涼子様と共に出来るだけ遠くへ逃げてください」

「お前は?」

 芽衣の視線があまりにも真剣だったため、芽衣を止める言葉を口から出すことが出来なかった。

「わたくしなら大丈夫です。そのために四年間血反吐を吐くほどの鍛錬を積んできたのですから」

「芽衣……」

 男としては情けないが、自分が残っても何もできないので杏子を背負い芽衣に背を向けた。

「守様、早く!」

「頼んだぞ!」

 決意の込められた芽衣の声を聞いて、守はそれだけ言うと涼子の方へ走っていった。



「止まりなさい!」

 芽衣が黒服に向かって叫ぶと、相手は一斉に動きを止めた。

「これ以上先には行かせません」

 腹のそこから声を出して、相手にそして自分に言い聞かせた。

 守の前だからああ言ったが、正直この人数を相手にするのは少し厳しい。

 もし相手が自分だけを狙ってくるのなら、この程度の相手ぐらい特に問題なく倒せるだろう。

 しかし今回は状況が違う。相手は涼子と杏子を狙っているのであって、自分という防壁を超えて守たちを追いに向かうはずだ。すると相手が自分のいるラインを超えないように気をつけて戦う必要がある。

 この際、腕の一本や二本くれてやる気で戦わないとな、と覚悟を決め改めて相手のほうを見る。

「相手はただのメイド一人だ。とっとと倒して獲物をとりに行くぞ!」

『おおおっ!』

 しばらく女子一人が残ったという状況にあ然としていた相手が、リーダー格だろう人間の声で一斉に動き出した。

「そのメイド一人がどれだけ恐ろしいか見せて差し上げましょう」

 芽衣はその言葉を言うと、迫ってくる黒服達の方へ向かって駆け出した。




ただ今、『E★エブリスタ賞 MF文庫J10周年記念 ライトノベル賞』に挑戦中です。

各ページ下部、及びユーザーページに『E☆エブリスタ』の作品ページへのリンクがございますので、よろしければ投票による応援にご協力ください。

※リンクに飛ぶだけではポイント加算されませんので、お手数ですがリンク先での作品への投票をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ