夕風の記憶
ふわり
カーテンを揺らす
窓を開けたあなたが笑っていた
「おはよう?」
きらり
夕焼けが黒髪を照らす
あなたの隣で風を感じた
「うん、おはよう」
夕陽の中で笑うあなたが
あまりにも太陽みたいだから
もう夕暮れだっていうのに
「おはよう」が溢れる
(好きだよ。)
言葉にしてしまったら
夕焼けに吸い込まれてしまいそうで
風に想いをのせておいた
だからどうか
どこか遠いところまで運んでおくれよ
透明の風はいつも
わたしとあなたの間で
咲っている
ご覧いただきありがとうございました。
風が記憶を運んでくれる
誰かに届きますように。




