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とある学生の最後
蔦が至る所に伸びた西陽が指す廃校のような廊下
「死にたくない死にたくない…」
柱の陰で身を震わせ、何かに怯える学生
鋭いものと柔らかい音が交わった音が段々と近づいてくる
サッカーのPKの時しか神に祈ったことのない学生は初めて本気で神に祈る
(神様助けてください、死にたくない助けて助けて助けて…)
今この場から動かないと確実に逃げきれない、でも足が動かない__…目を瞑り息を殺す学生
カタァ…カタァ…と足音が柱を過ぎていく
「………っはぁ…はぁ…なんとかやり過ごした」
学生は安堵し柱の陰から恐る恐る体を出す
過ぎていった先を見る
蛇の頭が曲がり角の先からこちらを観ている
「あ」
曲がり角の先から雄叫びが聴こえる
「グラァァァァアアア!!」
雄叫びと共に体長2m程の蛇の尻尾を持つライオン頭の化け物が戻って来る
学生は死を悟り膝から崩れ落ち最後に思う
17年間生きて来て何も残せていない何もできていない自分の人生は無価値だったと
人生そんなもん。