1章-14 家族との再会
よろしくお願いします。
ティアに案内されて、ティアの実家にたどりついた。市場から歩いて15分くらいのところにあり、今後はなにかとお世話になることもあるだろう。
「ここが、ティアの実家か。」
「はい…。」
「さっきまでの元気はどうしたんだ?」
「いえ、家族になにも言わずに奴隷になったの
で…。顔が合わせづらくて…。」
「それをいえば、俺なんて大事な娘さんを奴隷
として連れて行くんだぞ? めちゃくちゃ
気まずいよ。」
「…よし! ではいきます。」
2人で覚悟を決めてから、ドアをノックした。すると、ドアの向こうから女性の声がするのであった。
「はい、どちらさまでしょうか?」
「お母さん、帰ってきたよ。」
「…ティア! あなた、ティアが帰って
きたよ!」
そういうと、ドアが勢いよく開きティアの面影がある妙齢の女性が出てきた。
「あなたはどれだけ心配を掛けさせるの!」
「ごめんなさい。でも、お母さんに元気に
なってほしくて…」
「ティア…」
女性の後ろから、男性も出てきた。
「手紙だけ残していくから、本当に心配
したんだぞ!」
「お父さんにも、心配かけてごめんなさい。」
「とりあえず、元気に帰ってきてくれただけで
もよかった。…後ろの人は?」
「私を買っていただいた、フミト様です。」
「こんにちは。フミトと申します。」
「これはこれは、ご丁寧にどうも。立ち話も
なんですから、家の中へどうぞ。」
父親に案内されて、ティアの実家のリビングでこれまでの経緯を説明するのであった。
「家を出た後、私は一ヶ月くらい奴隷としての
教育を受けて販売される事になったの。
そして、販売が始まってから2日目には
フミト様に購入されることになったから、
フミト様が初めてのご主人様になるの。」
「それは…。ティアには苦労をかけて
ごめんな。」
「ううん、お母さんを助けるためだから
全然大丈夫だよ。それで、お母さんの
調子はどうなの?」
「ティアがなんとか用意してくれたお金の
おかげで、多少は良くなった。でも、
その薬ももうなくなりそうだから
どうしようかと思ってる。」
「そのあたりの話をするために、今日は
ご主人様にお願いして実家に戻って
きたんだ。」
「…お話ですか?」
「えぇ、ここからの話は他言無用で
お願いしたいのですがよろしいで
しょうか?」
「あぁ、ティアが無事に帰ってこれた
のもあなたのおかげだから、それ
ぐらいのことなら大丈夫だ。」
「ありがとうございます。では、なぜ
ティアを購入したかのあたりから
話をさせていただきます。私は商人を
やっていて、これまで1人でやってき
ました。しかし、1人では限界を迎えて
しまったため、従業員を雇うことになり
ました。ただ、私の持っているスキルは
かなり特殊なスキルになってしまい、
普通に従業員を雇うにはリスクが高く
なってしまうのです。そこで、奴隷を
購入することになり、商売の知識を持って
いたティアを購入させていただました。」
「なるほど…。」
「私としましては、ティアを奴隷として
ひどく扱うつもりは一切ありません。
もちろん従業員としてのお給料も払います。
ただ、私は家事がこれといって得意なわけ
ではありませんので、ティアには家事だけ
は分担してもらおうと思っています。」
「奴隷なのにそこまで好待遇にしていただける
とは…。」
「いえいえ、こちらこそティアにはお世話に
なると思いますので。そして、今日訪問
させていただいたのは、ティアをご両親と
再会させる以外に、もう一つ目的があり
まして。実は、商人をしている関係でこの街
にはない薬を手にする機会がありまして。
ティアから、お母様が病気だと伺いました
ので、症状にあったお薬をお持ちしました。」
「ティアだけでなく、妻の薬までいただいて
しまったら、ご恩を返す方法がなくなって
しまいます!」
「薬の件については、ティアに元気に働いて
もらうための先行投資だと思っているので、
ご恩を感じていただく必要はありませんよ。」
「そう言われるのでしたら…、ありがたく
頂戴いたします。」
「ティア、お父様の許可ももらえたから
お母様に薬を渡してあげで。」
「ありがとうございます、ご主人様!」
母親と話していたティアに声を掛けて、薬を渡してもらいその後もいろいろと父親と話しをした。
「フミトさん、ティアを助けていただいて、
また、私の薬までも用意していただいて
本当にありがとうございました。」
「娘だけでなく、妻までも助けていただき
感謝しかありません。」
「お母さん、お父さん…」
「気にしないでください。私としても、
ティアには従業員として助けてもらう
つもりなのでお互い様ですよ。」
「ティア、元気にやっていくんだよ。
お父さんとお母さんのことは気に
しなくていいからな。」
「あ、そのことについてなのですが…。
今度かりる家が、ここから歩いて15分
くらいのところなのでお休みの日には
ぜひ、ティアに会いに来てあげて
ください。」
「ほんとにいいんですか?」
「えぇ、ティアも喜ぶと思いますので。」
「何から何までありがとうございます。
ぜひ、うちにもいらしてくださいね。」
こうして、無事にティアの実家訪問を終えたのであった。
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